第16話 へなちょこな私に手加減願います

私は、激甘のエロフェロモン製造機となってしまった団長の膝の上。

団長は、見るからに超ご機嫌で、私の頭にキスをしたり頬擦りしたりしている。

そんな私は、団長からの口付けに翻弄されまくり、

今やっと気持ちが落ち着いてきたところだ。

私はそっと自身の唇に手を触れる。

いっぱいキス・・・それもものすごいディープなキスをされて・・・

私の唇腫れてないよね・・・タラコみたいになってるなんてこと・・・・・

(タラコー、タラコ・・・、何となくタラコソングを思い出す)

そんなことを考えつつも、先ほどのキスを思い出し・・・・顔が赤くなったのがわかった。

「ミサキ」

名前を呼ばれ、団長を見上げるように見る。

「・・・・・・ククッ」

・・・・・・何笑ってるんですか、もおおおおおお〜〜〜。

どうせ、慣れていませんよ。

24歳にして思いっきり処女ですよ、悪かったですねっ!!

団長の落ち着いた余裕のある態度が、女性経験の豊富さを物語っているような気がして、ついイラッとしてしまう。自分でも、馬鹿馬鹿しいと思いつつ、感情のままに唇をむっと尖らせ団長を睨んでしまう。

「ミサキ・・・何を考えてるんだ。そんな顔して」

明らかに笑いを堪えている様子で、私の顔にかかった髪を耳にかけ、額にキスをする団長。

そんな顔って・・・そりゃ、真っ赤な顔でしょ。

「潤んだ瞳に、赤く染まった唇・・・可愛いよ」

指の腹を唇に沿わせる。

はっーーーーーーーもうこれ以上は無理です。ストップでお願いします。

恥ずかしいです。恥ずかしすぎます。

やっと落ち着いてきたのに〜、今日は勘弁してくださいーーーっ!!

もはやどどまることのない団長から生産される甘いフェロモン・・・エロスと、私を見つめる眼差しに、私の顔の赤みはさらに増し限界点に達し・・・恋愛に軟弱な私の心(精神)も身体も限界突破したのか、プルプル震える私。団長は、そんな私を愉(たの)しげにじっと見下ろしている。そして、また団長のくちづけが降ってきた。

数えきれないほど繰り返される口付けに、すでに私の頭は考えることをやめている。

クイッ、クイッと胸元が引っ張られるような感覚。

くすぐったくて、胸元を見れば、ワンピースの一番上の蝶々結びのリボンが解けてしまい、そこから顔を覗かせた下着のレースを団長の指先が撫でている。

機能停止に追い込まれている私の思考が、復活すると同時に脳内に

『きゃ〜〜〜〜っ!!』

絶叫がこだます。

とっさに身を固くし、ぎゅっと目を閉じてしまう。

そんな私の瞼(まぶた)に団長は、優しく触れるだけのキスをする。

団長が解けてしまったリボンを結んでいるのを感じる。っと思ったら、ふいに身体がふわっと浮き、団長の両腕が私の腰に抱きつくように巻かれている。座ったままの団長に抱え上げられ、宙に浮いたまま下を見る。見下ろした先には団長の顔。お互い正面から真っ直ぐ見つめ合う。

「ミサキ・・・・、もうちょっと肩の力を抜け。大丈夫だから」

団長の膝の上に戻されて、抱きこまれる。

ポン・ポン・・と、ゆっくりとしたリズムが背をやさしく打つ。

団長から放たれるあまたの攻撃に、疲労困憊の私。

団長に頭を撫でられ、背中をポンポンしてもらい、肩をさすられていると、緊張していた身体から徐々に強ばりがとれていく。そんな私の変化を感じとったのか、安堵の吐息ともにわずかに笑いを含んだ団長の瞳を・・・・純粋に綺麗だと思った。

・・・・・ええっと・・・焦ったいんだろうな(そう思う)

「ごめんなさい、面倒くさくて・・・・」

もうちょっと、スマートに・・・そこまではいかなくても、素直に委ねられないものだろうか。この年まで経験がなくて、知識だけは有り余るほどある。俗に言う耳年増ですよ〜!

でも・・・だから余計なこと(妄想が限界を超えてしまって)を考えてしまって、恥ずかしいというか・・・頭がこれからの行為をグルグルと考え・・妄想が炸裂してしまって・・・。なんというか・・・狼狽えてしまう。

団長のシャツを握りしめた私の手に、団長の手がゆっくりと重ねられた瞬間、時間がピタリと止まったように感じた。

団長が息を吐き、「・・・・嫌ではないな?」

その問いで時間が動き出す。

「えっ・・・・と嫌ではないです。・・・はい。色々考えてしまって・・・・恥ずかしくて・・・・」

団長と二人になった時、いや・・・もっと前から、覚悟はできている。

・・・・むしろ、そうなりたいと思った・・・・はずだった・・・

「・・・・・・・ひゃっつ!?」

もみ、もみもみもみ・・・団長の手が布越し私の胸を揉んでいる。

そして、ぎゅっと私の胸全体を包みこむように掴んだ。

疼くような・・ズキズキする・・・痛みではない初めて知る感覚に息を呑む。

ちょっ、あっ、ひゃ〜〜〜〜〜〜!?

もっ・・・揉んでる〜!

思いっきり揉んでるー!!

私の胸が揉まれて、グニグニ・・グニグニ・・・

形を変えてる〜〜〜!!

「やっ、っ・・団長っ・・・・」

「ミサキ、団長じゃないはずだ。・・・ちゃんと名前を呼んでくれ」

そう言って、私を抱き上げ、ぐるっと反転させ、私は、団長の胸に背中を預ける形でまた・・・団長の膝に降ろされた。

それから、再び・・・

胸が揉まれて、グニグニ・・グニグニ・・・

思いっきり揉まれる・・・私の胸。

そして、団長の手が、さっき整えてもらったばかりのワンピースのリボンを解く。

それを、ぼんやりと見ていた私だったが、

解けたリボンの隙間から、滑り込むように差し込まれた団長の指先が、ブラのを潜り、直に私の膨らみに触れる直前、私は我にかえり、服の上から団長の手を必死に抑えた。

「だ、団長、ちょっと・・・・・」

「ダメだ。呼び方が間違っている。さあ、正しく呼べ」

イタズラをするように意地悪な囁きとともに、耳朶を甘噛みする。

うっわあああああ〜〜〜〜〜!!

団長は、私を後ろから抱えた状態で、両手でふにゅりふにゅりと胸を揉んでいる。

「ひゃっ、んっん・・・やっ・・・やだ・・」

恥ずかしくてたまらないのに・・・嫌じゃない。

手の動きはそのままに、団長は私の耳を優しく噛み、耳の後ろに舌を這わす。

ドキドキドキドキ・・・

心臓が煩いくらいに激しく打ち、自然と呼吸もみだれる。

上手く息が出来ない。

こんな上級者向けの状況で、私の頭が上手く動くはずがない。

なのに・・・、なのに、

「ミサキっ、なんて呼ぶのが正解だ」

しつこく名前呼びを要求してくる。

「なっ、ちょっとっ、・・・やっ・・・まって」

「れ・・・レオ・・・・っ」

息も絶え絶えのなか、何とか団長の名前を呼べた。

もう一度呼んでくれ、と耳元で囁かれた。・・・・ご勘弁を・・・

レオ。・・・・なんか照れる・・・めちゃくちゃ恥ずかしいいよお〜〜!!

限界は近い!これ以上はほんと無理〜〜〜。

今日は・・・・今は・・・この辺で勘弁願いたい。

これ以上のエロス攻撃は若葉マークの初心者の私には無理だろう。

途中で意識をなくす・・・気がする。

「だ・・(間違った)・・レオ、お願い。これ以上のことは、今度で・・・お願い・・します?」

「・・・・どうしてだ?」

えっ、団長が見せるはじめての間抜けな顔

・・・いいものを見てしまった・・・レア〜!

いやいや・・・そうじゃない。

こればっかりは何とか許してもらいたい・・・・。

「だって、だ・・レオ。わたし、しょ・・・初めてだから・・。刺激が強すぎなのです・・・・・はい」

途中『処女』って言いかけて訂正にたが・・・気づかなかったよね?!

私が逃げ出さないようにか、私のお腹を両腕でしっかりガードした団長にかろうじてつたえることが出来た・・・はず。

初めてだから・・・もうちょっとだけ時間をください・・・・。

「・・・・・団長・・・・?」

無言・・・返事ない。

これはダメだったかな・・・怒らせてしまったかなと思って、呼びかけた声は小さくなってしまった。

「だ・・だ、団ひょう・・・っ、・・・んんっ!」

突然団長の手が私の顎を掴み、後ろを振り向かせ、団長の唇が吸い付くように私の唇に重なった。不意打ちでされた口付けは、激しかった。

激しすぎるキスに・・・クラクラしている私を、団長はぎゅっと抱きしめ、私の肩に押し付けるように顔を埋めた。

団長の顔が押し付けられた箇所が熱い。

そんな、団長の行動に戸惑っていると、すっと息を吸い込む気配。

次の瞬間、団長のお説教がはじまった。

「・・・・ミサキ、君は本当に意地悪だ!何だ、そのトロンとした可愛らしい顔は!焦らすのか誘うのかはっきりしてくれ!!」

「なっ、さそってなんて・・・トロンとなんてしてません!」

「本人がわかっていないところが、もっとダメだ!・・・・」

途中で団長は言葉をとめ、私の顔をしっかりと覗き込むようにして見つめる。

「は〜〜っ」

団長が長い息をはく。

「了解!まあ、今日はおあいこだな。

ミサキも、しっかり触ったし、揉んでたよな!」

団長は、意地悪な笑みを浮かべ私を見る。

えっ??触った??揉む??・・・何を????

あ〜・・・そうでした。

そうでした(筋肉を無邪気に堪能していたことを思い出す)

「でも・・・ミサキ、初めてなんだな。光栄だよ。

ゆっくりと俺たちのペースで進んでいこう。」

満足げに宣言した団長は、鮮やかでありながらも妖麗に微笑んでいた。

はっっうっ〜〜〜!

これは、助かったのか?

それとも、ハードルを上げてしまったのか・・・・。

どっちだろう・・・・!!

団長と私の関係のステップが上がった。

次の展開??!!

これって・・・あれの始まり・・ゴニョゴニョな関係の始まりだよね・・・・

耳年増な私が憎い!!

次に進むであろう団長との関係に妄想が爆発して・・・

頭を抱える私だった・・・・・・

そしてそれ以上に、団長と思いが重なったことを純粋に喜ぶ私がいた。

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