第6話

 そんな風にして、俺はアゲハちゃんの『開発』を少しずつ推し進めていった。

 といっても、やってることといえば毎日何かしら話しかけて、彼女の身体のどこかをちょっと触る、ということぐらいである。一週間も続けているうちに俺の触り方も慣れてきて、今では毎日アゲハちゃんの頭や耳、肩を撫でたり、手を握ったりなどして、その感触や反応を楽しんでいる。


 そして今日の痴漢を終えた後の、その成果はというと……。


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Target:五十嵐 アゲハ


あなたへの好感度:8%

快感度:13%

羞恥度:72%


性感帯開発度

頭:2% Lv.3

肩:82% Lv.2

耳:52% Lv.2

唇:0% Lv.0

胸:0% Lv.0

お尻::0% Lv.0

太腿:0% Lv.0

乳〇::0% Lv.0

ちつ:0% Lv.0

ア〇ル:0% Lv.0


備考:おめでとうございます!

   初の『開発度Lv.3』を

   達成しました!

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 ……こんな感じである。


「いいぞ。なかなか順調だ。まあ好感度は8%から先、全然上がらなくなってしまったが……」


 それでも確かに、この手で効果を感じることができている。

 アプリのおかげで、『進捗』が分かりやすいというのも良い。


「それにしても……」


 まだ一向に開発の進んでいない、唇以降の項目へと視線を向ける。

 どのタイミングで手を出していいのか分からないため、まだあえて触れずにいたが……こちらも開発を進めていきたいところである。


 そしてやがては、アゲハちゃんと最後まで……。


 そんな妄想で股間を膨らませつつ、俺はスマホをズボンのポケットへとしまい込むのであった。


  *Side Ageha*


「う~~~~~~ん……」


 五十嵐アゲハは、電車を降りた後、駅のホームで唸っていた。

 唸っている理由はというと。


「あのおじさん、なんのつもりなんだろう……」


 最近電車でよく話しかけてくる、『おじさん』の件である。

 別に乱暴をされているわけでもない。不愉快なことをしてくるわけでもない。ただ、なんか、毎日触ってくるのである。


 頭とか、耳とか、肩とか……まあ、色々なところを。

 ただ、その理由が分からない。


「えっちなところを触ってくるわけじゃないから、痴漢ってわけじゃないと思うんだよなぁ~」


 別に嫌というわけでもないが、触られたら恥ずかしいものは恥ずかしい。

 それと、時々撫でられているところが気持ちよくなる瞬間がある。何よりもそれが一番よく分からなくて、やたらと恥ずかしい気分にさせられるのだ。


 そうやってアゲハがうんうんと唸っていると。


「お? どしたどした、アゲハ~。難しい顔なんかして~」

「あ、ミカ!」


 友人のミカが、アゲハに話しかけてきた。


「や、最近さ~。なんか電車乗ってるとよく触られる感じしてさ~」

「え、なにそれ痴漢ってこと?」

「まっさか~」


 アハハ、とアゲハがミカの心配を笑い飛ばす。


「痴漢するなら、もっと別のコ選ぶってぇ。わたしなんか触ってもおもんなくない?」

「まあそれもそっか」

「ちょ……」


 あっさりミカに納得されて、アゲハはややふくれっ面となった。


「そこで納得するのも、それはそれでわたしに失礼じゃないかなぁ?」

「アハハッ! あ、ほら、モタモタしてると置いてくよ」

「あ、待ってよー!」


 ――五十嵐アゲハは知らない。


 まさかこれが本当に『痴漢』で、今も自分の体が『開発』されている真っ最中であることを。

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