第4話 つまみ

  今日もボタンを見ながら一人晩酌をする。今まで気づかなかったが、ボタンの裏側になんやらつまみが付いていた。つまみは、「FREE」と書いてあるところを指している。

 「あ、ここはロシア語じゃないんだ。」

 「FREE」の横には十きざみのアラビア数字が八十まで振ってあった。微調整すれば一の位まで揃えることができそうだ。

このメモリはなんだ?まさか、八十にすると八十万人死ぬのか?そうだとするとかなりヤバい代物だぞ。百五十回押すと日本人が死滅してしまう。でも、実験してみないとこのメモリがなんなのかわからない。もう今までに十四回押してるし、メモリ10くらいなら問題ないだろう。そう思い、メモリを10にして押してみた。

 翌日、何か変わった記事がないかネットで探してみた。すると、夜十時くらいに車が学習塾に突っ込んだという記事を発見した。中学受験で有名な塾だ。他にも、塾帰りの小学生が車にはねられる事故や、火事で十歳の少年が死亡する事故等のニュースが見つかった。なるほど、このメモリは死亡者の歳を指定するメモリなんだ。何かの役にたつかな?

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