女神様から与えられた新たな力…?

 ◇



 カイトくんの背後霊として、タイムリープしてからずっと隠れて見守っていたがついに姿を現した。


 きっとカイトくんへの申し訳なさと後悔で今まで表に出て来れなかったんだろうけど…… カイトくんがピンチになってようやく力を貸すために出てきてくれて、おかげで何とか私とニャン太郎ちゃんの拘束も解けた。


 でもとは違って女神テミス様からの力は与えられてないはずなのに…… あんな能力、どうやって手に入れたんだろう?


 まあ、見た目だけで言うと、的当てが大好きなカイトくんにピッタリの能力だけどね。


 しかもカイトくんが攻めでザーマが受けみたいな感じが…… でゅふっ! 

 や、やだ…… 今はそんな妄想している場合じゃない! 私達の幸せな未来のために…… ザーマを無力化しないと!


 でも…… ニャン太郎ちゃんと私の力じゃ通用しないみたいだし、カイトくんの能力では一時的に動きを封じる事が出来るけと、きっともうすぐになっちゃう…… 


 どうすればいいの……




『サラ! ザーマをよくここまで追い込んだわね! よくやったわ!』




 えっ、この声は…… 女神様!?


『ええ、あとは私に任せなさい! とは言っても私が直接手出しするわけにはいかないから…… あなたに新たな力を授けるわ!』


 新たな…… 力? うっ! こ、これは…… 


『その力を使えばザーマに大ダメージを与えられること間違い無しよ! じゃあサラ、任せたわねー!』


 め、女神様ぁ!? でも、これ…… よくわからない力だし、どうやって力を使えばいいんだろう?


 でも、これで大ダメージを与えられるなら…… 使うしかない!! 


 はぁぁぁっ……!!



「ザーマ! これでトドメよー!!」 





 ◇





 俺の能力で生み出した分身は、ザーマの身体に接触するとまるでスライムのようにドロッと溶けて、ザーマが振り払おうとしても身体に纏わりついてなかなか離れない。


 そしてついでに…… 臭いみたいだから、ザーマは苦悶の表情を浮かべながらもがいている…… でも……



 はぁっ、はぁっ、はぁっ…… も、もう無理ぃぃ……


『さすがに若いカイトくんでもこれ以上は身体が持たないからダメだね……』


 若さが関係あるのか!? ってサラ、さっきから抱き着いたまま離れないな!


『だって…… 久しぶりに抱き締めたんだもん…… 離したくないよ……』


 サラ…… このサラはそうか…… 


 本当に…… ごめんなさい…… 俺が弱かったばかりに、サラを散々傷付けて……


『ふふふっ、謝るならに謝ってあげてね?』


 うん…… 


『大丈夫…… 何があろうと私がカイトくんを嫌いになる事なんてないから…… だから不安そうな顔をしないで?』


 サ……



「ザーマ! これでトドメよー!!」


 えっ!? あっちのサラがいきなり叫んだと思ったら…… 何だ、あの神々しい光は!!


 しかも右手の人差し指と中指を立てておでこに当てるあの構え…… いや、見間違いだよな? そうであってくれ!!


「悪を貫く聖なる光のビーム…… 名付けて! 『悪貫あかん……』」


 そしておでこに当てていた二本の指を、ビシッと指を差すようにザーマがいる方へ向けると、指から螺旋状のビームが…… って!! 

 アカーン!! それ以上は…… アカーン!!


 あっちのサラもこっちのサラも、どうしてこんなギリギリなラインを攻めていくんだよ!!


『ふふふっ、私ったら…… 高校生に戻った影響で、ちょっと厨二病っぽくなってるのかな?』


 うん…… 確かにコスプレしている時とかノリノリだったし、よく考えたら昔もこんな感じだったわ……


『カイトくんも一緒になって似たような事をしてたけどね』 


 そうだな…… サラと一緒にアニメやゲームの話も…… たくさんしていたもんな。

 こっそりと必殺技とか変身ポーズとか、今なら恥ずかしいが練習していたし。

 大人のサラに背後から抱き締められながら、そんな懐かしい記憶を一瞬思い出した。


「ぐっ! お、おのれ…… 人間の分際でぇぇー!!」


 サラのアカンビームが自分に向かって飛んできた事に気付いたザーマは、周囲の負の感情によるエネルギーを自分の前方に集め、ビームを防ごうとしているみたいだ!


 しかしザーマにビームが当たる直前、螺旋状のビームがザーマの手前で弾けるように広がり……


 えっ…… ビームが大きな光のスクリーンのようになったんだけど……




『あなた……』


 そしてそのスクリーンには…… 儚げで、だがこの世の者とは思えないくらい神々しくて美しい女性が映し出されていた。


「ネ、ネトラ! なぜお前が…… 何だこの映像は!!」


 『あなた』と言っているし、親しげな感じがするから…… もしかしてザーマの奥さん…… とか?


『あなた…… ごめんなさい……』


「何故謝るんだ…… んっ? あ、あ、あぁっ……」


『チィーッス、ザーマ先輩! へへへっ』


 んっ? 今度は若くて日焼けしたような健康的な肌の…… 若干チャラチャラしているが、これまた神々しいイケメンが映りこんできたぞ? 何だ何だ? ザーマの後輩? 


「ト、トール、お前…… 何で我の家に…… しかもそこは…… 我々の寝室じゃないか!!」


 後輩が奥さんと寝室? 

 うわぁ…… 何かやだなぁ…… 怖いなぁ…… 怖いなぁ……


 すると『トール』と呼ばれた後輩が、ザーマの奥さんらしき人物に後ろからハグをして…… お、おい!! 身体をまさぐっているぞ!? 


「トール! ネトラに何をしている!? ネトラも…… 何故拒まないんだ!!」


『あなた…… ごめんなさい…… でもあなたが悪いのよ…… 仕事ばかりであまり家にも帰らず…… んっ、私…… 寂しかったの……』


『へへへっ、ダメですよ先輩! こんな美人の奥さんをほったらかして、人間イビりなんて下らない遊びばかりしていたら……』


『トールくん…… あの人ばかり責めないで…… んっ…… 私もいけないの…… 寂しさで悪い遊びを覚えちゃったからぁ…… だからあなた…… ごめんなさい……』


『遊び? ネトラさん、俺は本気ですよ? 俺だったらネトラさんに寂しい思いはさせないですよ! こうして毎日…… 寂しさ感じさせないくらい…… 愛でちゃいます!』


『やぁんダメぇ…… あの人が観るんだからぁ……』


『そんな事を口では言いながら…… こっちは違うみたいですよ?』


『それは言わないでぇ…… トールくぅん、私…… 私……』


 ここでは見せられないよ! という映像が続く中、ザーマは呆然とした表情でスクリーンを見続けていた。


 いや…… 俺があんまりじっくりと観ていたら、あっちのサラにはボンされそうだし、こっちのサラには…… チョークスリーパーで落とされる!! く、苦しい…… 


 そして映像を撮影しているのを忘れているのか、ネトラと呼ばれた美しい女性と、トールというチャラ男があられもない姿でキャッキャウフフとくんずほぐれつ……


「ネ、ネトラ…… やめろ! もう…… やめてくれぇぇ…… あぁぁぁぁ……!!」


『おほぉっ!! トールくん、すごいぃっ!! あぁっ、あなたぁ…… ごめんなさい…… ごめんなさいぃぃ……』


『先輩、これからは俺がネトラさんを幸せにしますから…… 思う存分趣味の悪い趣味を続けて下さいね! ギャハハハッ』


『しゅきっ! トールくぅん…… しゅきしゅきぃぃぃっ!!』


 そして最後に奥さんが開脚ダブルピースを決めて…… 映像は終わった……


 一体何を見せられたんだ、俺達は……


 しかもアカンビームを撃った張本人であるサラも、めちゃくちゃ悪い事をしたような、とても気まずそうな顔をしてうつ向いている……


「あぁぁ…… そんなぁ…… うわぁぁ…… ネトラぁ…… ネトラぁぁ……」


 そしてさっきまで俺達の存在を消そうとしていたザーマは…… 膝から崩れ落ちて泣き叫んでいた……


 そりゃあそうだよな…… 愛する人のあんな姿を見せられたら…… 誰だって……


 でも…… 



「ムフフッ! 自分が今まで人間を操ってしてきた事と同じような事をされた気分はどーお? ザーマ」


「あぁぁ…… やはりあの力…… お前の…… お前の仕業か! 『エローナ』!!」


 俺が言おうとしていた事を先に言ったのは誰だ!? と思い、声の主を探して周囲を見渡すと……


 さっき井戸田さんが消えていった方向と同じ場所に、ふわふわと宙に浮く…… 


 逆バニーみたいなとんでもない服を着た、神々しく、とんでもなくナイスバディで、そしてとんでもなくエッチな雰囲気のお姉さんがそこにいた。

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