未来での真相、そして裏側に辿り着く
「カイト達の様子を見ている間、俺達が何もしてないと勘違いしたお前達の負けだ……」
「チッ…… 俺達が能力を解除する瞬間を狙っていたとは…… この…… 猫ごときが!!」
「やれやれ、俺も舐められたもんだな…… 舐めるのは毛繕いの時だけにしておけ」
「ね、猫と人間を一緒にする…… ぎゃあぁぁぁぁーーー!!」
う、宇藤がボンした…… ニャン太郎のやつ、いつの間に……
「遊紀くん!? よ、よくも遊紀くんを…… きゃあぁぁぁーーー!!」
井戸田さんも…… ボンしたぁ!!
「この間は油断しちまったが、お嬢ちゃんもいるし今の俺は無敵だ、さて…… 俺達に危害を加えた罪、しっかりと償ってもらうぜ…… 行くぞ、お嬢ちゃん!!」
「うん!」
「ウニャー!! ウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャウニャ…… ウニャアァァァー!!」
「時間よ…… 動いて!」
「うぎゃあぁぁぁーーー!!」
「きゃあぁぁぁーーー!!」
連続する爆発音、そのたびに宇藤と井戸田さんの身体は激しく揺れて…… 黒いモヤモヤが二人の身体から離れた所で爆発している!!
そして…… 宇藤と井戸田さんが膝から崩れ落ちて…… 地面に倒れた。
「ニャン太郎ちゃん、無事で良かった……」
「お嬢ちゃんよくやったな、まさか女神様からもらった布が空間を繋いでくれていたとは思わなかったぜ」
「うん、女神様に感謝しないとね」
ニャン太郎の言う布というのは…… サラが身に付けていた黄金の下着で『別次元ブラ』とか呼んでいたやつだ。
まさか本当に別次元に繋がっているなんて…… ただ、その下着をサラが着けていてくれたおかげで空間が歪み、何もない部屋がアパートの一室みたいになり、俺達は長い期間あまり不自由せずに生き延びる事が出来た。
しかも食料とか日用品まで、まるであのタヌキのポケットみたいに色々出てくるもんだから…… ついついサラをからかってしまった。
でもそのおかげでニャン太郎の無事を確認出来たし、こちらに呼ぶ事は出来なかったが会話は可能で、心配も減ったから落ち着いて作戦を立てて、脱出するチャンスを待つ事が出来た。
まあ、俺は何もしてないんだけどね……
普通に生活している様子を見せ、宇藤達がしびれを切らすのを待つ作戦だったから何もしなかったというのもあるけど…… やっぱり役に立ってはいなかったと思う。
それどころか、サラにあれこれ迷惑をかけたんじゃないか? あれこれ…… 迷惑以外にもカケたかも……
「ぐっ…… うぅっ……」
あっ、倒れていた宇藤が起き上がろうとしている!
「さてと…… これでザーマを引っ張り出す事が出来そうだな」
「くっ……クソッ…… こんな所で…… 俺は負けるわけにはいかないんだ…… 吉ヶ江さんを救うためには……」
えっ、サラを救う? どうして宇藤がサラを救うんだ?
「吉ヶ江さんのパートナーに城ノ内は相応しくない! 城ノ内なんかが何で…… ぐぅぅっ…… 僕が…… 僕が先に…… 吉ヶ江さんの事を好きだったのに!!」
えぇっ!! う、宇藤がサラを…… 好きだった!? そんなの初耳だし、高校時代に宇藤からそんな話をされた覚えは一度もなかったと思うんだけど……
そしてサラの方をチラッと見てみたら、サラも驚いた顔をしていた。
もしかして俺が知らなかっただけで、サラと宇藤って俺と出会う前から仲が良かったとか?
「う、宇藤くん? 私…… 好きと言ってもらえるほど…… 宇藤くんと話した事ない、ていうか…… 話した事あった? 私の記憶にないんだけど……」
「あるよ! 沢山話したじゃないか! あれは高校一年生の秋頃、図書委員で一緒になった時……」
…………
『あの…… 吉ヶ江さん、この本ってどこに片付けたらいいのかな?』
『あっ、それは奥から二番目の右側の棚だよ』
『あ、ありがとう……』
…………
…………えっ!? そ、それだけ?
しかもそれって会話のうちに入るの? 俺にはただ質問に答えただけに思えるんだが…… 嘘だよな?
サラはどんな反応を…… って、うわぁ…… サラがめちゃくちゃドン引きしている顔をしている。
ついでにボロボロになって倒れていた井戸田さんも顔を上げて『ヤバッ、コイツ……』みたいな驚いた顔をしている……
宇藤…… それは俺ですらドン引きだよ…… えっ、待って? じゃあ…… その『僕の方が先に好きだったのに!』的な話は……
「それだけじゃない! それから僕は毎日吉ヶ江さんを少し離れた所から見守っていたんだ! それなのに城ノ内が馴れ馴れしく吉ヶ江さんに話しかけて、しまいには付き合い始めて…… 僕に見せ付けるように学校や帰り道、至るところでサルみたいに発情しやがって!! おかげで僕の脳は破壊されっぱなしの高校生活だったんだぞ!!」
宇藤…… いや、宇藤さん? あなた…… それ、ストーカーじゃない? ヤバいよヤバいよ!!
しかもサルって…… 確かに高校時代の俺はサルだったが、まさか見ていたのか!? 宇藤さん、お前……
「ゆ、遊紀くん…… それ、気持ち悪いよ……」
井戸田さんが代弁してくれた! ありがとう……
サラは…… うわっ、まるでゴミでも見るような冷たい目をしている! これは滅多に見られない珍しい表情だな。
「失礼だな! これは純愛だ! 城ノ内にどれだけ汚されようと、最後に僕の隣にいてくれたらそれで良かったんだ!」
おい…… それは覇者になるくらい強い奴が言うから輝く言葉で、そこら辺の一般人が馬鹿の一つ覚えみたいに言うとクソダサいから二度と使わない方がいいぞ?
「だから吉ヶ江さんの目を覚まさせるために城ノ内に僕の子供を妊娠した禎子をあてがい、そして吉ヶ江さんと別れさせて、僕がフリーになった吉ヶ江さんを癒し、最後にある程度子供が大きくなってから城ノ内にネタばらしをしてトドメを刺してやろうと……」
そんな…… つまり…… 宇藤と井戸田さんは最初から明確に、俺を貶めるために結託して…… 托卵を企んでいたという訳か。
そんな奴に手を出した俺ももちろん悪いが、そんな回りくどくて陰湿で極悪な計画のためにサラの心にトドメを……
サラ…… 本当にごめん…… 俺が何も考えずに行動していたせいで……
おかしいとは思っていたんだ、妊娠したという時期も、妊娠したという事実も……
だけど、今なら言えるが、おかしくなっていた俺は疑いもせずに…… 騙されてしまった。
「ふはははっ! ざまぁみろ! だが…… 吉ヶ江さんまで死んでしまうのは計画外だった、だから俺達はザーマ様の力を再び借りて……」
「ゴミ…… じゃなくて宇藤さん、言いたい事はそれだけかな?」
サ、サラ?
「あなたの歪んでしまった心のせいで、どれだけの人を傷付けてきたの? 私達だけじゃない…… 一番傷付いているのは…… 井戸田さんだと気付いてる?」
「はっ? 禎子と俺はそんな関係じゃ……」
「好きじゃない人のために妊娠までして協力出来ないよ? 私には分かる…… きっと井戸田さんも、あなたがいつか目を覚ましてくれると…… あなたが望むようにと全て受け入れて、尽くして…… そして最後には壊れてしまったんだよ? こんなにそばにいるのに…… ザーマの力に魅了されて、復讐というか逆恨みに心を奪われて、自分を一番大切に想ってくれている人を蔑ろにしているって…… 分からないの?」
「そんな訳…… と、禎子?」
「もう…… やめよう? 遊紀くんを傷付けた人に復讐をしてスッキリすれば、いつか昔の遊紀くんに戻ってくれると信じていたけど…… まさかこんな下らない理由だったなんて…… こんな事になるなら遊紀くんがおかしくなったと気付いた時に止めておけば良かった……」
「お前…… 俺を裏切るのか!?」
「違う!! 私は…… 私は、ずっと遊紀くんだけを見て、あなたが望む事何でもしてきた…… そして復讐が終わったら一緒に暮らそうって言われたのを信じて……でも、それじゃあダメだって分かった…… だから…… 私は……」
そして井戸田さん…… の背中から出ていた黒いモヤモヤが、宇藤の背中から出ていたモヤモヤを引っ張り…… 井戸田さんが作った空間の歪みに吸い込まれるように消えていった。
『お願い…… 遊紀くんが正気に戻れるように…… 遊紀くんを操る悪い神様を…… あなたたちの手で……』
「お嬢ちゃん! あのメス猫背後霊が力を使ってザーマをこちらの世界側に引きずり出した! あの空間に飛び込めば…… ザーマと直接対峙出来るぞ!!」
「ザーマ…… 人を弄んで喜ぶような神様なんて絶対に許さない…… うん、ニャン太郎ちゃん、行こう!! カイトくんは…… お家で待ってて? 大丈夫、絶対に帰って来るから……」
サラ? 『帰って来るから』なんてそんな…… 最後の別れみたいな顔で微笑まれたって信じられるか!!
「だ、駄目だ! 危ないから止めろ!」
「カ、カイトくん!?」
井戸田さんが作り出した空間に入ろうとしているサラの手を『行かせない』と掴んだ瞬間、俺も…… 歪んだ空間に吸い込まれるように入ってしまった……
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