第4話 ギルド登録

「ああ……俺が、こいつを……倒したんだ……」


 自分が倒したという驚きと喜びと安堵が一気に押し寄せてきて膝から崩れ落ちてしまった。


「……すごい、すごいわ!!ユウキ!!初級ダンジョンのボスとはいえ一撃で殺しちゃうなんて!!ねぇ、私とギルド組まない!?きっと良いコンビになれると思うわ!!」


 俺の気持ちも知らないナナミは興奮した様子でそう俺に語りかけてくるのだった。




 第4話 ギルド登録




「ねぇ、私達のギルド名とかどうする?」


 初級ダンジョンを終えた俺達は、ギルド登録をするのに、ギルド協会のあるアカギ町という町へと繰り出していた。


 あの後からずっとナナミは興奮した様子でギルド名についてやさっきの魔法についてをこちらに語りかけてくる。


「そうだなぁ……ギルド名とかはマジシャンズとかでいいんじゃね?」


 あまりにもうるさかったので適当にそう答えると、ナナミは気に入ったのかずっと小声で復唱している。……まじでそれにすんの?


「……それよりも、あの魔法よ!!あの魔法は結局どうやって作ったの!?魔力で出来た剣みたいな!!」


「それについてはさっきから何度も言っているだろ……自分でも分からないんだ。がむしゃらになってて、魔力の流れを掴んで何かしようと思ってたらたまたま出た。それに、キングゴブリンを倒した時も自覚がなくて……気づいたらもう既に事が終わってたんだ。」


 あの時、俺は本当にダインスレイヴを出した後の記憶が無く、気づいたらゴブリンが真っ二つに切られていた。


「え〜!勿体ぶらないで教えなさいよ〜!サキさんも気になりますよね!?あの時の魔法!」


「ナナミちゃん、あまり追求しすぎちゃだめですよ?ユウキくんが困っちゃってるじゃないですか。」


 サキさんナイス!そのままナナミを丸く押さえ込んじゃってくれ!


「追求する時はお酒で酔わせた時とかに聞くんですよ〜。そっちの方が酔ってるせいで色々喋りだしますからね〜。」


 あ、ダメだこの人。ナナミに注意どころか変なこと教えてる。


 そんなことを話していると、ギルド協会の前に着いていた。正面に飾ってある、よく見るデザインの盾に洋剣2本がクロスして刺さっている、いかにもなエンブレムを前に少し緊張してしまう。


「何をしているの?早く中に入るわよ。」


 そう言い少し重そうな大きめの扉をナナミが開けると、目の前には受付嬢らしき人がカウンターに立っていた。


「ようこそ!ギルド協会へ!!」


 ゲームで何度も聞いたそれを聞いてようやく緊張を解すことが出来た。そして、サキさんがお疲れ様ですと言われている所を見ると、ふとあの疑問を思い出した。


「……なあ、そういえばここの世界って、13歳くらいから仕事できるのか……??」


 初対面の時から気になってた事をナナミに耳打ちすると、ナナミはどっと笑い始めた。


「ちょ、ちょっと……サ、サキさん、ユウキに13歳ぐらいに見られてますよ……」


 ツボり過ぎて所々声が出ないまま、ナナミが俺を親指で指しながらサキさんに話しかけると、サキさんはむっとした表情をし始めた。


「ちょっと!私はもう22歳過ぎた立派な大人ですよ!?どう見たら13歳に見えるんですか!!」


「えっ、あっ、えっ!?俺より歳が上!?し、失礼しました……てっきり13歳かと……」


 そんな俺の様子を見てさらに苦しそうに転げ笑ってて、まともに話せなさそうなナナミに代わって俺が本題を切り出した。


「……ええと、それで早速なんですが、ギルド登録したいんですけど大丈夫ですか?」


「むう……なんか誤魔化された感じがするけど……まあ、今はいっか。分かりました。そしたら、この紙にギルドメンバーの名前と、役職、性別、年齢、それとギルド名を書いて下さい。」


「分かりました。……おい、ナナミ。ギルド登録始めるからしゃんとしろ。」


 ごめんごめんと言いながら体制を整えると、書類を書き始めた。俺もナナミが書いた後自分の情報を書いてサキさんに渡した。するとサキさんは俺に不思議そうに質問をしてきた。


「……どうやって読むんですか?この字は……ユウキさんってどこの方なんですか……??」


 そっか、確かによく考えてみるとサキさんの名札にはハヤカワとカタカナで書いてあったり、書類に書いてあるナナミの名前もカタカナだった。日本と言語が一致していたため名前も漢字かと思ったが、こっちの世界での名前はカタカナが主流らしい。


「すみません、実は俺異世界から来てて……あっちの世界ではこの文字を使っていたんです。言葉が通じたんで、てっきり字も一緒なんだと……」


「えっ、異世界転生?ほんとにそんなの存在するんですか?」


 怪訝そうな顔をしている。そりゃそうだ、誰だって最初は何を言っているんだと信じられないだろう。俺だって逆の立場なら信じない。


「……うーん、全くもって信じられないですけど、嘘を吐いているようには見えないですし……まあ、分かりました。じゃあこっちで、書いときますね。」


 サキさんはまだ信じて無さそうだが、俺の名前を代わりに書き直してもらい、俺達はギルド登録が完了された。


「ところでなんだけど、俺たちのギルド名ってホントにマジシャンズでいいのか?」


「ええ、もちろん、私達のギルド名はマジシャンズよ!!このイカした名前でしょ!」


 イカした名前じゃなくて、イカれた名前の間違いだろ。絶対後悔するに違いないと思いつつ、俺達は今日冒険の1ページを人生に刻むのだった。

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