第3話 魔法の素質とダンジョン攻略

 あの後俺はナナミの家でこの世界についてを教わっていた。まずこの世界には魔法が存在すること。日常生活を便利にしたり、さきほど俺が襲われた魔物などに対抗するために使ったりとさまざまだ。そして、魔道具というものもあり、これには魔石というものが組み込まれている。効果としては、出力を安定させたり、増幅させたりすることができるようだ。


「そうだ、私のお下がりあげるわよ。」


 そう言い、色々入った箱から綺麗な緑色の魔石が嵌った腕時計を取り出し、こちらに渡してきた。


「それ、とりあえず付けてみなさい。そしたらユウキに魔力があるか分かるから。」


 言われた通りに腕時計を付けると、魔石が一瞬強い光を放った。


「ちょっと……!!凄まじい魔力量じゃない!!これは期待できるわね。それじゃ早速魔法の特訓するわよ。」


 そうしてナナミから譲り受けた腕時計を身につけ、魔法の特訓を始めるために俺達は川辺まで出向いたのだが───────


「まずは前提として、自分の中の魔力を掴む感覚を持ちなさい。あとは、今から魔法出す手順を見せるから、その通りにやってみるのよ。」


 そう言うと、指鉄砲の構えをし始め、赤く指輪が光った。そして、あの時と同じように指先から火の玉が射出され、目の前の岩に穴を開けた。


「……とりあえず私のやった通りにやってみて?まぁ、極論、魔力の流れさえ掴めれば自作の魔法も作れるわ。かなり魔法に対する練度も必要だし、中々作れないけれどね。」


「へぇ〜……とりあえず、見よう見まねでやってみるよ。……えーと、こうかな?」


 正直、魔力の流れを掴むのがかなり難しい。集中して感覚を探りながらしてやっと掴まえられた程だ。


「やっと掴めた……あとはさっきの手順で、フレイム・アーツ!!」


 そうして魔法を出してみると、ナナミの何倍も強い魔法が……出るどころか、へっぽこな紫色の火の玉が岩へ当たって消えるだけだった。だが、ナナミはそれを見た後に驚いた顔をし、俺に詰め寄ってきた。


「アンタ……!闇属性の魔力がフレイム・アーツに乗ってたけれど、闇属性を使える人ってこの世界じゃほぼいないのよ……!?」


 魔力量が凄まじい……?闇属性を使える人がほぼいない……?色々言われ過ぎて何も分からないまま、ナナミは興奮した様子で急な提案をしてきた。


「ある程度魔力掴めるようになるまで特訓したら、ダンジョン行くわよ!!ユウキ!!」




 第3話 魔法の素質とダンジョン攻略




「……なあ、俺本当に魔法の素質あるんだろうな……??」


 翌日、ナナミに魔法の素質がある。ある程度魔力が掴めるようになったら、実際に敵と戦った方が成長する。と言われ、俺達はダンジョンへと来ていた。


「大丈夫よ!私の第五感がそう言ってるもの。」


 それを言うなら第六感だろうという気持ちは置いといて、ダンジョンを進んでいくと、奥に誰かいるのが見えた。


「……なるほどぉ。ここはこういった生態系が湧いてるんですねぇ。」


 そこに居たのは、場違いに見える推定年齢中学生程の女の子だった。


「サキさーん!もしかしてこのダンジョンのチェック中ですかー?」


「そうですよー!今ちょうど仕事でこのダンジョンをチェック中だったんですー!」


 サキさんと呼ばれたその子は、一旦なにかをメモに書くのをやめ、手を振りながら近づいてきた。


「あっ、そうだ、ユウキに紹介するわね。こちらギルド協会の受付嬢兼クエストやダンジョンの難易度設定をしているハヤカワ・サキさん。この人は元有名ギルド、イザヨイノツルギのメンバーなのよ。」


 えっ、この世界って13歳から仕事とかできるの?なんて疑問はとりあえず置いといて挨拶を済ませておく。


「初めまして、佐藤 優樹です。えと、サキさん?」


「よろしくねー、ユウキくん。私の事は好きに呼んでくれていいですよー。」


 お互い挨拶を済ませると、ナナミとサキさんんは話し始めた。


「実は私達、丁度特訓する為にダンジョンに入るところでして……よかったら一緒に行きませんか?」


 そんなこんなで、サキさんが快く了承してくれたおかげで仲間が1人増えた。腰に剣を携えているところを見ると、きっとナナミや俺と違い剣を使う人なのだろう。


 そして、途中の敵を倒しながら進んでいると、ボス部屋のような場所に辿り着いていた。


「よし、ここがボス部屋よ。ここからはユウキがメインで戦いなさい。私達はホントにピンチになった時にサポートしてあげるわ。」


「……冗談、だよな?」


 一応確認を取ってみる。が、まだ知り合って時間が経ってなくても分かる。無言でこの顔するってことはガチなやつだ。


「大丈夫ですよ、道中のモンスターの感じを見る限り、ボスは最低ランク程の強さしかないと思いますので。それに、何かあったら私達も着いてますし。」


 サキさんまでナナミに同意している。もうここまで来たらやるしかないのだろうか。


「はあ……わかりました。やれるだけやってみますよ。」


 俺は自分自身を鼓舞し、重苦しく冷たいドアを静かに開け、規格外な大きさのゴブリンと対面した。


「さあ、キングゴブリンとご対面よ、なんとかして魔力使って倒してみなさい!!」


 待て待て待て、こんな大きいゴブリン聞いてない!テンパっていると、キングゴブリンは俺目掛けて持っている中華包丁のような武器を振り回してきた。


 まだ魔法をすっと出せない俺にこのレベルは絶対厳しい。魔法の準備をしている間にきっとあの武器で真っ二つだ。


「ちょっ、危なっ!死ぬ!まじで死ぬって!!ヘルプミー!!もう無理マジ勝てねぇって!?」


 そう訴えて後ろを振り向くと、サキさんは集中した様子でメモを書き込んでおり、ナナミはニコニコしながら親指を立てて俺を見ている。……本当にこれ自分で倒さなきゃいけないの?


 とりあえず、俺はもう自分でやるしかないと思い、詠唱を試みるも何度も攻撃が来てしまって中断してしまう。


 もう知っている魔法では無理だと思って、適当にパッと思いついた剣を持つポーズを取ってみると、手首に違和感があった。魔力の流れに魔石が反応しているのだ。


「まじか……!いける!!いでよ、ダインスレイヴ!!」


 そう唱えた瞬間、真っ黒な魔力で出来た剣が一瞬にして手元に現れ、一瞬の間でキングゴブリンを葬ってしまった。


「……すごい、思った通りどころか、思った以上よ……!!まさか自作の魔法を即席で作ってしまうなんて……!!」


 自分でもよく分からないまま倒したゴブリンと自分以上に興奮しているナナミと熱心にメモを書き込んでいるサキさんを見て、やっと魔法を使って魔物を倒したんだという感覚がじわじわと襲ってきたのだった。

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