客室Ⅱ

「ごめんね、知らないや」

 ん?今、彼女の足が一瞬後ろに下がったような……。彼女、何か隠しているな。

「その……あなた方は?」

「自己紹介がまだだったね、僕はスセソル。彼女はジョーカーだよ」

「こんばんは。スセソル君にジョーカーちゃん」

ジョーカーの名前を聞いても何も反応しないということは僕と同じ、この船に初めて乗ったということか。

「君の名前は?」

「私はモルス。この船は初めてよ」

「僕も初めて……」

初めて乗ったならあの『初心者狩り』を躱したのか?

 ジョーカーの案内無しに『初心者狩り』を躱すとなると相当の戦略家か、戦闘者なのか。

「どうかされましたか?」

「い、いえ。少し用事を思い出しました。ジョーカー行くよ」

「また御縁がありましたら」

「その様子だとスセ君も彼女の正体に気付いたようだね」

 ジョーカーは最初から気付いたのか?モルスはラテン語で死を意味する。敵に回さないようにしないとな。

「ねぇねぇスセ君。カジノ行かない?」

「なんでまたカジノに、お前がこの状況になった理由をもう忘れたのか?」

 今の手持ちは1万か。

「大丈夫、ポケットの中で必死に守ってる1万を何十倍にしてみせるよ」

まだカジノは行ってないし、1万程度なら良いか。

「仕方ない。行くか」

「それでこそスセ君だね♪」

 だけど僕はこの選択を後悔することになる。

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