『ある母親の手記』

夫が死んだ。

事故だった。詳しいことはまだよくわかっていない。

遺体の顔を確認した。同じ人とは思えないほど老け込んでしまっていた。

Sギフの能力が暴走したと考えられているらしい。

あの人を奪った奴が憎い。



毎日寝る間も惜しんで働いているのにお金が貯まらない。

一人であの子を育てて行くのは無理なのかもしれない。

でも誰に頼ればいいのかわからない。



あんなに可愛かった息子の顔を見るたびにイライラしまう。

自分がおかしくなってるのはわかる。休みを取って病院に行けと言われた。でもそんな暇はない。お金もない。



とうとう、息子を叩いてしまった。



もう自分がわからない。抑えられない。

死んだ夫にそっくりな顔をして、夫を殺した奴と同じ生物が、同じ空間にいることが耐えられない。

距離を置きたい。




身勝手な母親でごめんなさい








ああどうしよう

このままじゃわたし、あの子のこと殺しちゃう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る