第2話 付き合いたくないけどセックスしたいの
「俺的にはメインヒロインの声優、さすがだなって思った」
「他の作品と、かなり声も演技も変えてたもんね。原作でもあんな感じのキャラなの?」
「原作のラノベだと、もうちょっとおとなしい感じかな」
土曜日になり、俺と愛衣は、いつものショッピングセンターの、いつものシネコンで映画を見た。
小学生の頃から、ここで映画を見てる。
2人で映画を見に来た回数も数えきれない。
映画を見てから、ハンバーガー店でセットをテイクアウトで購入。天気が良いので、大きな川の近くの公園まで歩き、ベンチに座り食べる。
そして映画についての気兼ねない会話。俺たちのいつものパターンだ。
河辺の風景は、
愛衣は素直に感想を述べる。俺がラノベの知識を披露しながら解説をする。
映画を見た後の最高の余韻の浸り方だ。
大体の感想が言えたかな、というところで嫌じゃない沈黙の間ができる。
少し暑い気温に、すうっと川からの風が吹いて気持ちいい。
「なぁ、愛衣、付き合わないか?」
俺は、用意してきた言葉を、ここだと思って愛衣の耳に届ける。
もちろん緊張してるけど、相手が愛衣だから、すごく素直に言えた。
愛衣の反応を待つ。
「……」
愛衣が沈黙を守る。
俺の予想とは違う反応だ。
愛衣が喜んでくれると思ってた。
「ごめんね。正兄ちゃんのことは好きだけど、付き合うのはやめよう」
少し間があってから、愛衣が困ったように言う。
俺が意外なのは、こないだの会話のせいだ。
愛衣の気持ちがわからない。
「これまで通りの仲良い関係でいたいの。正兄ちゃんは大切な人だから」
表情を見てると、その言葉は嘘ではなさそうだ。
「だめ、かな?」
愛衣がお願いするように聞いてくる。
「わかった。俺もそれでいい」
なんとか言葉を返した。
愛衣の表情が穏やかになる。
「ただね、もし良かったらでいいんだけど、ラブホには一緒に行ってみたいんだ」
いや、だからソレなんだ。
その意味がわからないんだ。
「あのさ……、見学がしたいとかそう言う意味じゃないよね?」
俺が素直に聞くと愛衣が笑う。
「まさか、そんなワケないじゃん。それはそういう意味だよ」
ますます俺は解らなくなる。
俺はまた素直に質問をぶつける。
「付き合いたくはないけど、エッチはしたいってこと?」
「うん。それに誰でもいいワケじゃなくて正兄がいい」
愛衣はやっとわかってくれたって顔をするけれど、俺の疑問はすっきりしない。
愛衣が説明をはじめる。
「愛里鈴がね、男の子紹介してくれるって言ってるの。愛里鈴がロンドンにいた時に、同じ塾に通ってた子で2つ上で大学1年生なんだって」
愛里鈴っていうのは愛衣が仲良くしてる帰国の子だ。
愛衣から聞いてる限り悪い子じゃない。
「愛里鈴も麻梨亜も彼氏いるから、あたしも彼氏作ったらどう? ってことみたい」
愛衣は帰国の子たちのサブメンバー的な存在だ。愛里鈴って子はその中心的人物で、愛衣のことも積極的に誘ってくれてる。
今回も良い意味で女同士のお節介なのだと思う。
「それでね、もし付き合ったらエッチなこととかもするわけじゃん。今回の人とすぐ付き合うかどうかわかんないけど、そのうち誰かと付き合ってエッチすることになると思うの」
JKらしい感覚なのか、帰国の子たちの影響があるせいかわからないが、それは俺的にも理解できる。
「でもあたし、はじめての相手は正兄がいいって前から思ってるんだ。でも誰かと付き合いはじめたら浮気になっちゃうじゃない。だからその前に、ヤリたいなって思って」
これも理解できる。ただ問題はそこじゃない。
俺が理解できない疑問を口にする。
「じゃあ俺と付き合ってエッチするんじゃダメなの?」
「それはヤダ。正兄とは仲が良い関係でいたいから」
うーん。良い友達でいましょう、というやつなのか。
愛衣が言葉を続ける。
「ヤル気になったらそう言ってよ。誰かと付き合っていなければ、あたしの方はヤリたいから」
「うん」
そう返事はしたけど、俺の中のモヤモヤした気持ちは納得できないでいた。
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