第9話 嘘つき
僕は前を向いて嘘つきリラのことを考えていた。
別に僕もリラのこと覚えてないし、はじめましてって言われても『はい。はい。』って感じだ。
しかし、あの海で会った。
『話していない?』嘘だ。
僕に話しかけたのは、リラの方だ。
幻だったのか?
『タクマ。私のこと覚えていない?』
そうだ。あの時、タクマと僕の名前を呼んだ。
リラは何者だ。
真後ろのショウと仲良く話している。
声が聞こえる。
なんだ。なんなんだよ。
僕の頭の中だけ、ぐるぐる何かが回っていて
スッキリしない。
そうしてる間に午前中の授業が終わる。
夏休み前は全て午前中だ。
僕ら部活組は昼ご飯の後、バスケが待っている。
リクが「じゃあ、部活前に学食行かない。」
「そうだな。」
ショウはリラと連絡先を交換したらしく。
リラは「じゃあ。また。」と教室を女子達と出て行った。
リクが「ショウ、かなりリラのこと速攻で攻めてますね。」とオタクっぽく茶化す。
「そうだ。今度こそ本物の恋だ。
速攻攻めるのみ。
それにリラは顔も性格もスタイルも僕のタイプなんだよな。」
リクが「顔は分かるけどさ。
ショウさ、スタイル好きって、ばーかエロい。
どこ見てんだよ。
まあー、僕も否定しないけどさ。」
さすが中学2年男子。健全だー!
僕もリク同様、否定はしないが。
しかし、まずは彼女が何者か?
それを突き止めないと。
リクとショウが呼ぶ。
「タクマ、ボーっとするな。学食行くぞ。
食べたら部活だ。遅れると先輩たちコワイぞ。」
「だな。」
僕は急ぎ机を離れた。
その時だった。
「ポン。」目の前にカラス?
しかも小さい。
僕は目を擦り。二度見する。
僕の目の前にカラスが浮いている。
「?」
僕が歩く。小さいカラスがついてくる。
教室を出た。
廊下でリクとショウと合流。
「なあ。リク、ショウ。僕の横にいるカラス見えるか?」
「カラス?見えないぞー。」
ショウも「タクマ、大丈夫かあー。」
そうか2人には見えないか。
リクが「タクマ、もうすぐ1組だぞ。
ミズキさん、いないかなあー。」
僕ら3人教室を覗き込む。
『いたー。』
次の瞬間、僕のカラスは、ミズキさんのところへ飛んで行った。
『えー!』
僕は思わず、両手を広げてポーズ。
時間を止めた。
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