永眠(暴力描写あり グロ描写あり)
それから女は殺しまくった。
家に来る者全てを。肝試しにきた女子高生達を。出入りしていた不動産の女社員を。地主の男を。上がりこんできた不良カップルを。
〇〇〇
これは女の記憶か。この場所で起きた出来事を追体験しているのか。
本能が直観する。この女がこの家のヌシだ。この女はここで無念の死を遂げ、ここにずっといる。そしてこの家に関わる者全てを理不尽に殺してきた。
浴槽にまるで壊れた玩具のように詰め込まれたこの人達ははこの女に殺され、ここにとらわれているのだ。逆らうこともできずに。
心の中に不快感がこみ上げる。
無表情のまま、積みあがった顔達が口だけを開けて悲鳴を上げる。彼らの断末魔の叫びだ。
その中に若い女の子や幼い子供の頭も無数に含まれているのを見た瞬間、俺の中で何かがはじけた。
俺は怒りのままにそばに転がっていた丸椅子を白い女の顔に投げつけた。ドゴンと音がして、椅子が女の顔を打つ。
生首の山の合唱がぴたりと止み、山の頂上の女の顔が憤怒の形相になった。
「おいこら、この腐れ女」
俺は女をにらみつける。
「さっきあんたがここでひどい目にあったのを見たよ。無念も怒りもわかるけどよ、超えちゃならねえ一線があるだろうが。」
自分自身の言葉に俺はどんどん怒りがこみ上げる。俺は拳を握りしめた。
「お前自分勝手に何人殺しやがった!子供も女の子も見境なしかよてめえ。」
生首たちの怨嗟の声が俺を包囲する。だが俺は頭に血が上っている。止まらない。
「自分が理不尽に死んだから、自分は被害者面して他の人を殺してもいいんだってか?おいコラ、子供だっていたんだぞ。甘ったれんなよこのメンヘラビッチがよ!」
俺は浴槽に飛び込み、女の顔を思いっきりグーパンした。ぴしゃり!という音が浴室に響く。さらに何度も頬を張り倒すと女が悲鳴を上げた。
何をやっているんだろう俺は。でもやめられない。俺がやらなきゃだれがやるっていうんだ。
「あ?私は可哀そうな被害者ですぅってか。もう立派な加害者だよ。この糞アマがよ、死に晒せやコラ」
怒り狂う俺を誰かが羽交い絞めにする。柔らかいおっぱいが俺の背中に当たる。ビデオ女だ。俺を浴槽から引きずり出そうとする。
なんだっけ、そういえばこのビデオ女と洋館の怨霊をぶつけて相打ちさせるんだっけ?でももう関係ねえ。俺がこの腐れビッチをもう一度殺してくれよう。
だが浴槽からいくつもの手が伸びてきて俺の腕をがっちりつかむ。俺はふりほどこうとするが、次から次へと手が伸びてきて俺は浴槽の中に引き釣りこまれた。ビデオ女の手がおっぱいが背中から離れていく。
ごぼりと生臭い浴槽の水が喉に入る。息ができない。鼻に気泡が入ってくる。苦しい。俺は浴槽の水の中で必死にあがく。狭い浴槽のはずなのに足がつかない。まるで冷たくて深い海の中に放り出されたみたいだ。目を開くと俺の目の前を無数の青白い顔が取り囲んでいる。無数の手が俺の体を掴み引きちぎっていく。俺の肉体は一瞬でバラバラにされ、浴槽にぶちまけられた。
そして俺は死んだ。
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