第7話 班決め
そうして行われた班分け。経過を細々と書き記してもいいのだけれど、冗長になるのでなるべくカットしよう。ただ、意外と楽しく盛り上がったと思う。一部の女子が、所詮は人気投票だ!とはしゃいで、そのノリに諏訪馬や
意外だったのが、その一部の女子の中に、音無さんが含まれていたこと。僕が小学校時時代から見てきた彼女は、そんなノリの女子じゃない。てことは……ひょっとしたら、ぴりつきそうな場の空気を打ち消すべく、わざとはしゃいで見せたのかも?
でまあ、一番早く枠が埋まったのは、金城。確かにハンサムな奴なんだけど、選ばれる理由はそれだけじゃないと思う。父親が刑事ということもあり捜査の実態に詳しく、また、金城自身の身体能力が頭ひとつ抜けていて、捕縛術や護身術が得意というのも大きかったんじゃないかな。女子はみんな我こそは名探偵と思ってこの学園に入っただろうから、頭脳以外でフォローしてくれる男子をチョイスするのは自然なことと言える。
続いて埋まったのが、
三位以下は、どんぐりの背比べ。って、自分で自分のことをどんぐりにたとえるのは情けないが。いや、金城と龍郷がいなければ、残りの僕達も結構レベル高い、と信じる。
とにかく、僕は音無さんさえ入ってくれればあとは文句ないと思っていたし、実際そうなったからいいのだ。表面上は何でもない風を取り繕い、心の内ではジャンプしてガッツポーズして、叫んでいたぜ。
「皆さん、優秀なのに、意外と見る目がありませんね」
僕を選んでくれた最初の女子になった音無さんは、隣に座るや、こう呟いた。入学当初は小学校が同じだけあって、僕にだけやや砕けた言葉遣いをしてくれていたのに、今ではほぼ変わりなくなっている。特別扱いされなくなったみたいで寂しい、なんて台詞は口には出せない。
ま、一番親しい女子であることには変わりなく、よく一緒に登校している。今朝は、用事があるとかいって早めに出たみたいだけど。
「い、いや、客観的に見て、龍郷なんかの方が上だろ」
「かもしれませんが、今回記録係もしなければいけないとなると、男子はみんないつもの能力を充分に発揮できるとは限りません。その点、私は小学生の頃から深海君を知っています。作文の点数、とてもよかったですよね?」
「あ、ああ、そういう基準で選んでくれたわけね……」
ちょっっぴりがっかりするような、でもそんな細かいところまで見ていたんだとも思えば嬉しくなるような、何か複雑な気持ち。
「もちろん、相性を念頭に置いて選びましたよ。気心の知れた仲間というか、そばにいて一番落ち着くというか」
「……」
にやけるのを自覚し、意識して真顔を保った。
さて、そんな“作文が得意な”僕を選んでくれた他の女子は、次の通り。
まずは六本木樹さん。彼女は僕を選んだと言うよりも、音無さんがいる班を選ぶと最初から決めていたようだ。本人が、「私より先に音無さんが選ぶ順番になって、ほっとしたわ」と言っていたくらいだし。
二人目、いや三人目は
そして最後が、クラス委員長の志賀さん。そう、あんな質問をした志賀さんだったが、選ぶ順番はくじ運悪く、ラストになったのだ。……つまり、僕の班が最後まで埋まらなかったということ。
「残り物には福がある、なんて思わない」
聞かれない内から志賀さんが語り始める。耳の痛いことを言われるんだろうなと覚悟していたら、意外や意外。
「最初から深海君、あなたの班を選ぶつもりでした。幸い、女子も私が一緒にやりたいと思っていた数名の中にいた人ばかりだし、最高の班だわ」
嬉しいことを言ってくれる。
ただまあ、入学してから三ヶ月ほどを経て、僕はすっかり疑り深くなっているからね。
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