20 ステータス
鏡に映る僕の右耳。
そこに留まる、小さな銀色の……。
「……イヤリング?」と呟きつつ、次いで、思い起こされる昨日の記憶。
【崩落溝】への
まるで幻と思うくらい、冴え冴えした青空に、交差点。後ろに立つ、人の気配。
そして、――耳に留められた何か。
なるほど、コレがあの時の
触ってみれば、軽い感触。
無色透明の宝石が揺れる、シルバー
控えめで繊細な、可愛らしいデザイン。
……なのだが、まぁ明らかにレディースのアクセサリーである。成人男性、かつ陰な僕が付けていたら、似合わない事この上ない(正直、かなりヤバい人になってる気がする)。
よって、すぐにでも外そうと思ったのだが、――あれ。
「外れ……ない……」
まるで根があるかのように、金具が微動だにしない。
*
『おそらく、【
とは、シャルロットの見立てである。
20時を少し回るくらい。
残業しての退勤後、自宅の最寄り駅からの
「【
『ええ。あるいはそのような魔法か。聞く限り、それらのいずれかと考えられます、ニャ』
「うーん……。ちなみに、思い当たる【
早足で歩きつつ、僕は続けて質問。
朝からこっち、けっこう待ちわびた会話なのである。というのも、退勤後のいまになって、ようやく会話ができたのだ。
既に、周囲の
『【
「うん。たぶん……」固着についてはいいとして、認識阻害については、きっと――。「
あえて、
僕は、しばし
……あー、ええと。
なぜこんな話になっているか? なのだが。
このイヤリング、どうやらシャルロットには
どういうことかと言うと。
先刻、このイヤリングについて訊いてみたところ――。
『イヤリング……? らしいものは見当たりませんが、ニャ』
と言われたのだ。
で、よくよく聞けば、シャルロットからは、僕の耳には何もついていないように見えるのだとか。そんな経緯で、『【
……さて。
外せないなんて、なんだか呪いの装備っぽいし。変な機能が付いてたら嫌ではあるが……。ま、外せない以上は仕方がないので、この件も保留だね。そう、頭の隅に追いやってしまおう。
で、話は変わるのだが、――ようやく、メニューやステータスの見方が、だいぶわかってきたのだよね。
僕は、『メニュー画面の表示』をイメージ。
すると、――フォン、という効果音と共に、薄青い半透明のアイコンが横並びにいくつか現れる。
手元に並ぶうちから、『ステータス』のアイコンを見つけてタップ。
すると画面が切り替わり、次のような表示がなされるのである。
■契約番号: 003352
■登録名: えにし
■担当カラー: 黒
■魔力特性: 質量
■レベル: 35
■ベースステータス:
・魔力総量: 189
・魔力代謝: 91
・魔力出力: 204
・認識力: 145
・認識精度: 151
■配分可能ポイント: 102
■刻印容積: 100(使用中:0)
■使用可能魔術(
・(なし)
■使用可能魔術(
【
【
【
【
【
【
【
【
【
【
【
………。
……うん。
レベルとか、魔法とかはまぁわかるんだけどさ。それ以外の項目が全然意味不明だよ。
えーと、……『配分可能ポイント』てのは、たぶん、ステータスに割り振れるポイントっぽいよね。
で、『魔力総量』というのは、読んで字の
しかして、それ以外の部分が全然わからない。
後でまた、シャルロットに魔法少女講座を開講して貰おうかな……。
……あ、魔法少女講座と言えば。
昨晩、全てスキップした『初期設定』のやり直しとかも、メニューからできそうだよ。
例えば、――メニューの中から、『サポートロイド設定』をタップ。
現れるのは、昨日少し
で、ほかにも、――コスチュームとか、変身バンクの有無(こんなのもあるんだね……)とか、変身用のアクセサリーだとか、僕自身についても色々変えられるみたい。
特に、変身用アクセサリーは、僕の右腕、バングル形式のほかには、イヤリング、カフス、ネックレス、リング、などなど、……たくさんの種類から選べるようだ。デザインも、かなり自由に
うん、正直これは、ゲーマーとしては、ちょっと凝りたくなってしまうかも。
変身用アクセサリー設定に
それを左右にスクロールしてクルクル回転させながら、どんな魔法少女にしようかな、なんて妄想するのだった。
――や、別に、真面目に魔法少女やるつもりも全然ないけどさ……!?
*
さて、そうして帰路を
いつものように、コンビニ弁当とサラダチキンを買って、
「――あ」と、声が漏れる。
ふと、思い出したのだ。
目の前に伸びる、人気の少ない、静かな夜道。
ぽつぽつ街灯が点る道の、この先は、……確か。
――昨日、僕が横殴りの衝撃を受けた道だ。
思わず、僕は立ち止まる。
事故(?)現場に、正直
いま、道の先に誰かがいるのである。
街灯の足元で、その青白い光に照らされる、高校生っぽい制服姿の二人組。
片方は女の子だ。
ブレザーに、膝丈のプリーツスカート。
そして、もうひとりは、……んん??
髪が長めで、ちょっと一瞬わからなかったのだが。よく見るとスラックスを履いている。……ってことは、男の子かな?
そして二人とも、周囲をきょろきょろ見回しており、何かを探している様子で、……。
……あ~。うん。
別に、コレと言った根拠はないのだが、なんだか
この場所で、かつ、二人組。
つまり、きっと
僕はゲンナリする。……どうするかな。
ていうか、あの二人、高校生だったのか……。
うーん……。
………。
「…………よし」
と呟き。ひねくれ者な僕は、
つまり――。
見なかった事にしよう……。
そうして、僕がそっと
「あーーーッ!! やっと見つけた!!」
女の子がこちらを向き。そんな声が、夜の住宅街に響き渡るのだった。
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