12 監視者[3]
――【
その効果が、シャルロット所蔵の知識により、即座に脳裏に浮かぶ。
それすなわち『肉体の超強化』である。
具体的には、魔法少女の体の特定の部位を、超大質量かつ超高密度の材質に置き換える。
置き換えの対象となるのは、骨格、筋肉、腱、といった体組織、――運動に関わる大部分だ。
その結果、肉体の運動性能が
*
おそらく、
一言だけ言い置いて、瞬時に跡形も無く消えたアイリさん(だよね……?)に
アイリさんの攻撃? により、敵はいま、単騎となった。
僕は高速で思案する。
というのも、【破滅の舞踏】という魔法。
自分の体に強化を
まずもって、この魔法により置き換わった部位は、魔力により駆動するようになる。なおかつ、その材質は、現実にはあり得ない力学的特性を示す材質であり、肉体の運動機能に、文字通り
その程度はというと、――10~100倍程度、……重さや密度も変わるので、単純な表現が難しいが……。ともあれ、いま魔法少女化によって身体能力が上がっている、その比ではない。
それはランクAの【
「――勝てるくらい。と思って良いかな?」
『はいニャ!』二つ返事のシャルロット。よし、認識は同じだ。
ただしこの魔法、デメリットもある。
まず、置換していない通常の部位が、徐々に破壊されていく。これは、材質の強度差や、自重、超性能となった運動の反動、などによるものだ。
加えて、体組織を置換した部位は、魔力が切れ次第、消失する。これは、微量ではあるものの、その材質の維持のため、常に魔力供給を必要とする事による。
要するに、まともに駆動すれば体が耐えられず死ぬし、魔力が切れても死ぬ。
いわばこの魔法は、時間制限付きの超強化であり、――かつ、緩やかな自殺なのである(僕がいま脳に施しているものと同じ事だ)。
そのうえ――。
「シャルロット、懸念は?」
『はい、――
「オーケー」
要するに、敵の攻撃を
先ほどの要領で狙撃しようにも、
正直、やれるか自信はない。
しかし、――魔法少女になりたてにもかかわらず、ここまでなぜだか生き延びる事が出来ている。賭けるなら
そして僕は、最後の
【破滅の舞踏】の使用には、ほとんどの魔力を費やすこととなる。
よって、それは
使用した時点で、道はひとつに定まる。
すなわち、もう戻れない。
失敗すれば、僕は死ぬ
チラと
僕は即断する。
やるしかない。
もう、これ以外に道はない。
僕は両手を空けるため、シャルロットを肩に載せる。
「シャルロット、
『承知ですニャ!』
応えと共に、その
すでに、【破滅の舞踏】の使い方は、脳裏にイメージできていた。
全身を襲う痛みと、――加えて、死への恐れによるものか?
僕は足場の上に
*
――ゴウ。
と音がするほどに、大量の闇が、刀身から
闇は、辺りの風景を
それは、レンズのように向こう側の景色を
僕は、おもむろに左手を持ち上げ、それを
瞬間、全身の質量と密度が、桁違いに増した。
「――ッフゥゥゥ――……」
激痛に食いしばる歯の隙間から、思わず漏れる吐息。
全身に、破壊的な力が
そして、更に
見れば、それらは、袖を
複雑な刻印・紋様が刻まれた、艶消しの漆黒の防具。
それら
やがて
【
さて、いかな身体強化されているとはいえ、思考速度や判断力が増しているワケではない。
つまり、強化した体による運動性能を把握し、それを前提とした予測の上、先んじたアクションが必要となる。
その点を心しながら、チラと横目で残り時間を確認。
――あと20秒。
それを認めつつ、僕は足場を前傾。そこにグッと屈み込み。
「――いくよッ!」
そう
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