ヒロインの一人暮らしの準備

「では、荷物はこれで以上になります。こちらに確認のサインの方、お願いします。」


「はい、色々とありがとうございました。では・・これで宜しいでしょうか?」


「はい、ありがとうございます。では失礼します。」



・・ここで一人暮らしですね。彼氏さんも両親もいない、頼れるのは自分だけ。学校に行きながら炊事、洗濯、掃除・・今まで任せっきりだった事も全部自分でしなきゃいけないんですよね。そう思うと・・分かっていても寂しいですし、やはり彼氏さんやお母さんに傍にいて欲しいですね。今にして2人の存在の有難みが分かりますね。

彼氏さんはあの日、あれだけ充電して大丈夫思いましたが、全然足りないです。やっばり地元の学校にした方が正解だったのでしょうか・・


そんな事を言ったら、彼氏さんがまた無理しそうですね。彼氏さんは彼氏さんが決めた人生がありますし、これ以上私の決めた道に我儘言って迷惑かける訳にはいかないですね。

そろそろ荷物片付けましょうか、けど全部自分1人でって・・彼氏さんは自分の引越しは簡単そうに言ってましたが、意外と大変そうですね。


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ふぅ・・これでひと段落ですね。玄関に彼氏さんの靴と洋服あるだけで、ちょっと違いますね。そして廊下に暖簾、最初は半信半疑でしたが、確かに誰か来ても玄関から部屋の中が見えなくなりますね。彼氏さんの意見を参考にして正解でした。ですが荷物を置くとこの部屋、思ってたより狭いですね。ベットをシングルにしなかったのは失敗だったでしょうか・・けど、彼氏さん来た時にはあの時みたいに一緒にお布団入っていっぱい充電したいですから・・そこは仕方ないですよね。


・・玄関に彼氏さんの部屋みたいな下駄箱スペースあれば、私も写真飾れるのに・・この部屋に帰って来たら一番に顔がみたいので、何か考えなきゃいけないですね。



プルルルル・・



あ、この変顔は彼氏さんの着信ですね。


「もしもーし。」


「彼女さん?今は大丈夫?」


「はい、大丈夫ですよ。実家から送ってきた荷物の片付け終わって、少しゆっくりしていた所です。」


「そう。どう、新しい部屋は。」


「部屋の内覧した時は広そうに見えましたが、実家から送った荷物や家電とか入れたら意外と狭いですね。」


「それは仕方ないよ・・」


「彼氏さんの部屋が広かったので、そのままのイメージで考えてたので・・」


「ウチはまだなんも無いからね。」


「彼氏さんに来て貰っても・・ちょっと窮屈な思いさせるかもです。」


「気にしないで、雨風凌げたら充分だから。」


「後で私の下着が何処にあるかメッセージしますね。ここに来たら勝手に見て良いですからね。」


「誰得情報!?」


「その彼氏さんの反応、私の心の安定剤ですっ・・正直、ちょっと寂しかったんです。」


「彼女さん・・」


「大丈夫ですよ。明日には帰りますから、またすぐに会えますよ。そして・・この状況に早く慣れなきゃいけないですからね、今は予行演習です。」


「そうだね・・」


「彼氏さんの方はどうでした?」


「なかなか凄い話になってるよ。あのお店、俺達専用席作ったりコラボメニューの提案あったり。」


「本当ですか ?帰ったら詳しく話を聞くのが楽しみです。」


「それと・・俺達のお泊まりの日の事が学校中で噂になってるって・・」


「え!?」


「俺達は知らなくても、みんなは俺達の事を知ってるって話らしくて・・駅前の待ち合わせから買い物の後位まで、在校生や卒業した同級生含めて色々な人が見てたみたい。確かに学校に通う人数を言われたらそうだなって観念したよ。」


「・・恥ずかしいですね・・」


「本当に。けどお店からの提案、俺は構わないけど、彼女さんの思いもあるから・・そこは帰って来て話しよう、ある程度の話はメモしてるから。」


「分かりました。けど、私は良いと思ってますよ。恥ずかしいのは確かですが、私達の努力が報われた感じがしますから。それに大事な思い出のあるお店でそこまでして貰えるなら、私は嬉しいですし。」


「俺よりも前向きだね。」


「私も女の子ですよ?当事者でなければそんな素敵な伝説に乗っかりたいですよ。」


「そんなもの?」


「そんなものですよ。」


「なら・・これからも頑張って続きを描かなきゃね。」


「そうですね。今も遠距離の大変さを垣間見てますが、私も頑張ります。」


「・・彼女さん、悪いけどそろそろバイト入る時間からまた。」


「分かりました、では気をつけて行ってきて下さいね。」



・・高校時代も毎日のお別れは寂しかったですが、今は更にですね。お付き合い始まったから気兼ねなく電話やメッセージは出来ますが、会えないのは寂しいですね。

彼氏さんに限って浮気は考えられないですが・・優しさも相まって押しに弱そうですからね。心配ですが、信じるしかないですね。


色々と不安はありますが、彼氏さんとならきっと大丈夫。彼氏さん以外の人との未来なんて・・考えられませんからね。


今日は晩御飯どうしましょうか・・冷蔵庫はまだ使えないから、近くのお店に様子見がてら晩御飯を探しに行ってみましょうか。私も彼氏さんにご飯作ってあげられるようにしなきゃ、ですね。






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