主人公のお買い物

遠距離開始直前に主人公がヒロインに渡すリング、その購入時の話です。


‪✂︎‬------------------キリトリ線-----------------‪✂︎


「こんにちは。」


「いらっしゃいませ!・・あ、長らくお待たせしました。ご注文の品は出来てますよ。」


「ありがとうございます。あれこれと無理言って、本当に申し訳ないばかりです・・」


「それは大丈夫ですよ。では・・ご注文の品はこちらになります、ご確認願います。」


「プレゼントするのに僕が先に触るのもなんですが・・はい、希望通りです。本当にありがとうございます。」


「こちらで宜しいですか?では箱に入れてプレゼント用に包装しますね。」


「よろしくお願いします。」


「お会計の方は先に頂いてるので・・何かあれば当店に持ってきて下さいね。」


「はい、分かりました。ですが・・今回は裏技使ってしまって申し訳ない気分でいっぱいです。」


「あの方と一緒に来店されて、甥っ子の面倒見て欲しいって言われた時はびっくりしましたよ。けどいつもお世話になってる方の頼みですし、今回は特別でご用意させて頂きましたが、こちらは・・もしかして婚約指輪です?」


「いえ、恥ずかしながら付き合い始めたばかり、更に4月から遠距離なんで・・お守り代わりに思って。」


「そうですか・・けど、リングサイズは良かったんですか?」


「指にはめるのでなく、ネックレスにって思ってるので。」


「成程・・けど、こちらは石を内側にの要望聞いてるので、ネックレスだとチェーンですれて痛みやすいですし、取れるリスクも高いですよ?」


「構わないです、それは承知の上なので。気休めながらこれを他の人に見られた時、余り目立つのも思ったので。付き合ってるとはいえ、彼女にもし僕よりも相応しい相手が見つかって別れたいとなれば、未練なく引かなければいけないですから。その時の重りになっても困るので・・」


「そこまで覚悟を決めてるんですね。分かりました・・ですが、私には彼女さんが羨ましいですよ。」


「え?」


「私も若い時に遠距離恋愛した事あるんです。最初は毎日電話したり、久しぶりに会うときはドキドキしたり・・愛があれば距離は何とかなる、お互いに同じ気持ちで同じ方向向いてるんだって信じてましたが・・それは私だけ。彼の方は遠距離始まった時点で浮気してて・・」


「え!?」


「最初はマメだった段々と連絡が遅くなり、最後には好きな子と同棲するから別れて欲しいって言われて・・1人だけ浮かれて馬鹿みたいって散々泣いたものです。」


「・・・」


「ごめんなさい、変な話して。ですが、近くにいるのと遠く離れた時とでは感覚が全く違いますからね。怪我や病気、浮気を疑った時・・傍にいたくてもいれない。そしていないからこそ、相手を疑い、信じられなくて。反対に自分の身の潔白を信じて貰えなくて絶望したり。顔を見て話せば済むのにそれが出来ない。今までどれだけのカップルが自分たちなら大丈夫!って遠距離恋愛に挑戦し、そして上手くいかなかったか・・私達みたいな事にならないように頑張ってくださいね。」


「はい・・」


「貴方はよそ見しなさそうだから大丈夫だと思いますが、彼女を裏切ったら・・私も容赦しませんからね、覚悟して浮気して下さいね。」


「こ・・怖い・・」


「こらこら、余り若い子を脅さないの。お客様の顔が引きつってるじゃない。接客と私情を混ぜないの。」


「!ごめんなさい店長。つい自分がダメだった分、上手くいって欲しくて・・けどこの際ですし、結婚指輪の予約を受け付けましょうか?」


「さ・・流石にまだそこまでは。けど、今回はお世話になりましたし、その時には必ず。まずはペアリング欲しい思ってるので、その時は二人で来るのでよろしくお願いします。」


「お2人でのご来店、楽しみにしてますからね。」


「次は是非に2人で選びたいです。今回は勝手に決めたので、喜んで貰えるか正直不安なんですよね・・」


「大事な彼女さんの為に彼氏の貴方が一生懸命に選んだんです、きっと喜んで貰えますよ。値段だって・・もしいらないって言ったら、貴方ごと私が頂きますよ!」


「え!?それはちょっと・・」


「言ってみただけですが、大切に思われてるってのが分かるので正直羨ましいです。」


「そうでもないですよ。俺は彼女に罪があるので、それを精算しないといけないので・・」


「罪?浮気や二股?」


「そっちの方が軽いかも知れません・・」


「それ以上って・・」


「こら!お客様を困らせる事を言わないの。」


「ですが店長、今は他のお客様いないですし良くないですか?」


「良くないわよっ!!お客様が不在だからこそ、やる事や出来る事あるでしょ?」


「残念・・では続きは二人でペアリング作る時に聞かせてくださいね。」


「・・・全く。お客様、従業員が本当に失礼を。大変申し訳ありませんでした。よく言い聞かせますので。」


「お構いなく、僕みたいな若僧にお気遣い不要ですよ。堅苦しいのは苦手なので・・」


「ありがとうございます。ですがまた当店をご贔屓によろしくお願いしますね。貴方達が将来、当店で結婚指輪を購入頂けたなら、これ以上の宣伝はないですから。」


「へ?」


「私もあの学校のOGですからね、い・ろ・い・ろ貴方達の噂は聞いてますよ?今回のサービス分は、将来の宣伝料で相殺だと思って下さいね。」


「・・・僕の予想以上にあれこれ知られてるんですね、色々と。本当に知らぬは本人のみで恥ずかしいばかりです。」


「いいじゃないですか、みんな応援してますよ。」


‪✂︎‬------------------キリトリ線-----------------‪✂︎


次の話、主人公とヒロインではない、とある2人の話になります。

次話で一区切りになり、その次から遠距離恋愛開始になります。

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