デート1-9/一緒の布団の中で

「ごめんね、シングルベットで・・狭いよね?」

「大丈夫ですよ。彼氏さんにしっかりくっつきますから。」

「・・・言葉が出ない・・」

「彼氏さんと一緒のお布団・・体温が伝わってきて身体も心も温かくなって・・嬉しいです。もうちょっとそちらに寄らせて下さいね。」

「・・彼女さん、当たってるから・・ちょっと・・」

「当ててるんですよっ。彼氏さん、嫌ですか?」

「嬉しいけど困る・・」

「仕方ないですね。ですが彼氏さんにくっつくと同じ匂いがして嬉しいです。」

「お風呂場は来客用のがなくてごめんね、ウチの常備品使わせちゃって。」

「大丈夫ですよ。ですが、余計な気を使わせてしまいましたね。」

「そんな事は・・」

「どう見ても彼氏さんが普段使って無さそうでしたし。」

「バレバレか・・」

「私に気を使う必要ないですよ。」

「流石に、ね。」

「・・彼氏さんは・・きっと他の男性と違いますね。」

「?」

「他の男性がどうかは分からないので思い込みと想像ですが、彼女と一緒にお布団に入れば、それは直ぐに食べちゃっても良いんだと彼氏さんは思いませんか?」

「それは・・」

「正直に言って下さい。彼氏さんは私の身体に魅力を感じませんか?」

「そんな事はないよ!そりゃ出来たら・・思うけど・・」

「こうして一緒にお布団に入っても、私に全く手を出さない彼氏さんは・・きっと気を使い過ぎてるんです。罪悪感と真面目過ぎる性格に、優しさも相まって自分の本音を犠牲にして、何もかも私の気持ちを優先しようとし過ぎてます。それが原因で私を傷つけるのが怖くなり臆病に、その臆病が原因で女の子の気持ちに無意識に鈍感になってる・・そんな気がします。」

「返す言葉がない・・」

「言い方が悪いのは謝ります。けど、それは彼氏さんの欠点でなく、長所だと私は思ってますよ。」

「・・そう・・なの?」

「女友達同士の会話になれば、私も色々な話を耳にします。特に修学旅行とか野外活動とか・・その中で、女の子の気持ちを考えず、すぐに身体の関係になりたがる男性が多いって聞きますよ。実際、私の友達は本当は嫌、だけど別れたくないからって彼氏に身体を許したけど、後日別れた後に後悔したって話を耳にしてます。私の場合はお話したトラウマがあります。だから・・彼氏さんの優しさに救われてる部分は確かにありますよ。」

「だったら・・」

「ですが!彼氏さんはそういう本を借りて見ていたんですよね?」

「・・はい・・ごめんな!?・・」

「・・・っ・・お口チャックです。それは仕方ないですし許容範囲です。良いんですよ、そういうのを見ても。ただ、今は私がいるので・・・可能な限り、私を思いながらが・・・・良いです。」

「・・ごめん・・実は・・」

「水着ですか?」

「うん・・」

「だったら良かったです。」

「・・まさか?」

「・・それは承知の上でしたから。別に怒ってませんよ。そして・・」

「?」

「今はあの時よりも・・ですよ。」

「!?」

「彼氏さん、嬉しそうな顔してますね。実際に見て確かめたいですか?」

「耳元でそんな事言われたら・・見たい!のいったく・・いや、ごめん!取り消して!!」

「取り消し不可です、しっかり聞きましたよ。そして言いましたよ、我慢してくれたら後で満足させてあげますって。」

「それは聞いたけど・・けど・・」

「私も・・彼氏さんを利用していたって罪悪感があるんです。だから・・」

「・・?・・もしかして男避け?」

「そうです。確かに彼氏さんへの想いは強かったですし、安心出来ました。ですが彼氏さんと帰る姿が周りに映れば、私にダメ元を含め告白してくる男性は減らせる。そんな打算もありましたから。私は彼氏さんを責めれる程、清廉潔白ではないんですよ。」

「それは自衛だから構わないよ、女の子なんだし・・あんな過去があれば余計に。」

「・・・・」

「?」

「本当に自分には厳しくて、私には優し過ぎて・・気遣いは嬉しいですが、私も・・・彼氏さんに申し訳ない気持ちが・・」

「あぁ・・泣かないでっても無理だよね。一度決壊すると、落ち着いた後も決壊し易くなるよね。彼女さんみたいな立派なのはないけど、治まるまでは顔見ないでいいようにさせてね。」

「・・・・ごめんなさい・・利用して・・ごめんなさい・・」

「大丈夫だから、ね・・嫌な事は全部俺の責任にしちゃえば良いんだよ。何も背負わなくて良いから・・ね。」

「・・彼氏さんのバカ・・そうやって甘やかすから・・・どんどん私がダメになるじゃないですか・・その優しさが嬉しい、けど会えなくなる事を思うと辛いです・・」

「辛いなら八つ当たりして良いから・・」

「バカ!!バカ!・・私の彼氏さんは大バカです。だけど・・だから大好きです。もっといっぱいギュッてして、体温を感じて満足させて下さい。いっぱい充電させて下さい、ずっとこのまま離れたくない!寂しいです!!」

「俺も彼女さんが大好きだし、離れたくないよ・・けどごめんね、こんな事位しかしてあげられなくて。」

「何で一緒に来てくれないんですか!何で離れなきゃいけないんですか!!彼氏さんとまた毎日一緒に帰りたい!毎日顔みて笑って過ごしたいです!!」

「・・・・謝る事しか出来なくてごめん。」

「バカ・・私が望んで決めたからって・・私のせいだと言って下さい・・」

「一緒に行けないダメ彼氏が悪いんだよ。最低だよね・・」

「・・ダメ彼女を泣かせるダメ彼氏さん、後でいっぱいお仕置しなきゃいけませんね・・・・私ばかりさっきからごめんなさい、言いたい放題で。」

「少しはスッキリした?」

「してません。折角お風呂借りたのに・・またこんなかお・・んっ・・」

「・・彼女さんはどんな表情でも愛おしイテッ。」

「彼氏さんからの不意打ちのお口チャックはセクハラです。」

「彼女さんからは?」

「女の子の特権です。」

「・・そうだね。」

「・・・かれし・・さん・・」

「?」

「お願いがあるんです。本当は彼氏さんに食べて欲しいのですが・・それを無理強いしたら、きっと彼氏さんの心を壊してしまう思います。だから・・」

「ごめん、意気地無しで。」

「良いんですよ。ですが私を食べたくなったら何時でも言って下さい、必要な物は用意して持ってきてますから。」

「え・・?」

「彼氏さんは私に土下座して誠意を見せてくれました。私も・・彼氏さんにごめんなさい・・じゃダメですね。めいいっぱいのお礼と、さっきのセクハラのお・し・お・きをさせて下さい。」


次話/デート1-10「お礼とおしおき」



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