デート1-8/ヒロインのお願い

「感謝・・言われても、正直ピンと来ないというか・・」

「良いんですよ。彼氏さんは色々背負い過ぎなんです、だからちょっとでも楽になったなら。」

「彼女さんは・・少しは楽になった?」

「随分違います。彼氏さんの昔の事はあれこれ聞いてましたが、自分の事を黙ったままは嫌でしたから。だからといって改まってこんな話をする訳にはいかなかったですし。久しぶりに・・感情を爆発させてしまいましたが、彼氏さんは嫌じゃ無かったですか?」

「大丈夫。俺の前でそんな姿を見せてくれたのはびっくりしたけど嬉しかった。けどそろそろ・・顔を見てお話出来る?」

「あら、私の胸が当たってなくていいんですか?」

「!?・・大丈夫だから。少しは戻った・・かな?」

「けど残念ですね・・もう少しこうしていたかったですが。」

「ご・・ごめん、じゃ・・」

「大丈夫ですよ。今は泣き顔でぐしゃぐしゃなので、余りお見せしたくないだけです。それに・・」

「?」

「な・い・しょ、です。」

「なら・・お風呂用意しようか?」

「一緒に入ります?」

「は?」

「私は・・良いですよ、彼氏さんとなら・・」

「ダメ!・・仮に水着とかとしても・・ごめん、それは無理。怒ってる訳じゃなくて・・まだ彼女さんには何も出来てないのに、そんな事したら・・自分で自分が一生許せなくなりそうだから。ごめん・・・」

「彼氏さん、本当に生真面目ですよね・・立場が逆なら、私は一緒に入った思いますよ?」

「え?」

「彼氏さんは反応が都度面白いです。」

「彼女さんが笑顔になるなら・・いいよ、今日はオモチャにしてって・・どうしたの?じっと見て・・」

「嬉しいような・・悲しいような・・自分でもよく分からないんです。彼氏さんが私に気を使ってくれてるのは嬉しいんです。だけど・・」

「だけど?」

「・・なんでもないです。彼氏さんを困らせてはいけないですね。我儘言いますが、お風呂お願いして良いですか?色々とお話しましたし、少し1人でゆっくりしたいのかも知れません。」

「わかった、ちょっと待っててね。」

「ごめんなさい、お願いします。」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「彼女さんの家のに比べたら狭かったかも知れないけど・・」

「いいえ、問題無かったですよ。ごめんなさい、先にお風呂頂いてしまって。」

「ゆっくり出来た?」

「はい!気持ちよかったです、ありがとうございます。」

「なら良かった。」

「彼氏さんも入られたらどうです?」

「そうさせて貰おうかな・・」

「付けていた下着、脱衣所に置いたままにしてますので、興味あれば見ても良いですよ。」

「!?」

「冗談ですよ。」

「都度、心臓に悪い・・・」

「ごめんなさい。また後、色々とお話しましょうね。今日は寝かせませんよ?」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「ごめん、お待たせ。」

「待ってませんよ。制服・私服は当たり前でしたが、お互いにパジャマ姿は新鮮ですね。」

「修学旅行みたいだね。」

「2人きりだと、何だか部屋を抜け出したみたいですね。」

「先生だけでなく、クラスメイトをも敵に回すパターンだね。」

「ドキドキですよ、本当に修学旅行でこんな事したら。今は彼氏さんしかいないから安心してますが。」

「彼女さんが嫌がる事はしないから安心して。」

「・・・彼氏さん・・」

「どうしたの?」

「お願い・・聞いてくれます?」

「出来る事なら・・」

「彼氏さんの体温、出来るだけ感じさせて下さい。」

「?」

「一緒のお布団に入って・・彼氏さんとお話がしたいです。」

「・・へ・・?」

「ダメ・・ですか・・?」

「いや・・予想外過ぎて・・」

「では今夜はどうするつもりだったんですか?」

「彼女さんをベットで寝かせて、俺は別の部屋で雑魚寝のつもり・・・って・・彼女さん、顔がめっちゃ怖いんだけど・・」

「か・れ・し・さ・ん!!もうちょっとこっちへ・・」

「ハイッ!!なんでしょうか・・滅茶苦茶怖い顔をなされてますが・・」

「本当に・・私を1人で寝かせようとしてたのですか?」

「こ・・怖い・・」

「な・に・か・い・い・ま・し・た・か??」

「いえ、何も!!」

「彼女を別の部屋で1人で寝かせようだなんて・・何を考えてるんですか!」

「いや、けどやっぱり問題が・・」

「何が問題ですか?」

「・・俺の方から言えないよ、布団が1つしかないから一緒に寝て欲しいだなんて。」

「では、何も用意してないのですね?」

「用意?何を??」

「・・彼氏さんは色々と勉強して下さい。」

「はい・・ごめんなさい。」

「ですが・・だからこそ他の女性の方に行かなかったのかもしれませんが。そう思うとちょっと複雑ですね。」

「・・・」

「彼氏さんは・・私と一緒に寝るのは嫌ですか?」

「さすがに抵抗が・・」

「今日は何でも言う事聞いて貰えるんですよね?」

「言ったけど・・俺に対してのお仕置じゃなくてご褒美にならない?」

「言ってるじゃないですか。2人で一緒に罪滅ぼしですよ、彼氏さん。」


次話/デート1-9「一緒に布団の中」





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