マレ【賢者の間4】

「うー、母ったらひどい、私の作った、甘い液、飲んじゃったの」

海トカゲ少女が、憤慨しながら言った。

「うー、しかも赤い顔で、戦闘のときみたいに、なってたの。鍋、取り返そうとしても、風のように、避けられるの」

「『戦闘のときみたいに』というところが、よく分からんが?」

と、首を捻る金髪少年。


「うー、私達、戦闘前に、体を温める。顔赤くなって、素早く動ける」

「飲むと、赤い顔になって体が温まる……って、酒じゃねえのか?」

銀色ジャンプスーツの少年が言った。

「いや加熱したんだから、発酵はしねえはずか……。おいマレどうやって煮詰めた?」

と、銀色ジャンプスーツの少年が聞いた。


「うー、鍋沢山、順番に、火球の魔法で、下から、炙った。鍋多くて、あんまり、熱くならなかった。すごく、時間、かかった」

「煮詰めんじゃなく、温め続けたっつーことか。てことは偶然アルコール発酵する微生物を培養しちまったってことか?」

ジャンプスーツの少年が唸っていた。


「うー、何、言ってる?」

「マレ、取り敢えず今の方法で作った樹液は飲むではない。私たち子供には毒だわ」

と、重そうな山吹色のドレスを着た少女が言った。

「うー、他の鍋も、全部、取り上げられた。もう無い、甘いもの……」

海トカゲ少女が、泣きそうな声で萎れていた。


「……ここに来た時に、僕のおやつマレにあげる。それじゃ駄目?」

と、直毛黒髪少年が言った。

「うー、良いの?」

海トカゲ少女が、涙をこらえて顔をあげた……。


「みー、私にもちょうだい」

「くんくん、私にも」

「ついでに、レシピもつけなさい。覚えて帰りますから」

「せっかく『キック〇フ』とか少女漫画とかみてえな雰囲気になりそうだったつーのに、台無しじゃねーか。俺、リアル恋愛ものを期待したつーのに」


 とっとと幕を下ろしたかったのか、三毛猫?が無言で「ぽふぽふ」と柏手を打った。

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