第12話 二人でダンジョン攻略

「ふう…」


 薄暗い洞窟。積み重なる屍。その上で腰を下ろす。


「我ながら結構倒したな…」


 :これ軽く五十は倒してるだろ

 :うーん、化け物

 :平常運転ですねハイ


 おれは少し前に訪れたダンジョンである悪魔の巣窟に来ていた。


「はっ!おらっ!」


 柳瀬奏太と共に。

 なぜこうなったか、それは昼休みにさかのぼる。

 おれがいつも通り席で弁当を食っているとニヤニヤと奏太が近づいてきた。


「俺、探索者、なった。ダンジョン、行くぞ。」

「なんでそんなカタコトなんだよ。」


 そのまま半ば強制的に約束をし、パーティーを組んで今に至るというわけである。


「おー、動きよくなってんな。」

「だろ?」


 ショートソードを片手に奏太はドヤ顔でこちらを見てくる。


 :え?誰このイケメン

 :なんかレンコンのリア友らしい

 :一緒に攻略してるんだとさ


 実際、おれから見ても奏太の動きはかなりいい。探索者なりたてとは思えないほどのいい動きだ。っていってもおれも大して探索者歴長くねえけどな。


「よっと」


 悪魔の攻撃を軽く躱し、銀に光る新品の剣を血で汚す。


「なんか…意外と楽勝だな。」

「じゃ、次の階層いくか。」


 魔石を回収した奏太はおう、と返事をする。


「もうボス部屋か。」

「おれ実はちゃんとしたボスと戦うの初めてなんだよな」


 :そっか、こいつ初挑戦でスタンピード止めてんだわ

 :相変わらず化け物で草

 :ええ…


 配信は現在千人ほどおり、コメントもなかなかににぎわっている。


「GUUAAA…」


 洞窟の奥で待ち構えていたのは黒い体に赤い羽を生やした異形。鋭い爪に口元からこぼれ出る牙が印象的だ。


「じゃ、軽く倒して終わるか。」

「あんま油断すんなよ。」


 そうしておれは拳を、奏太はショートソードを構える。

 おれは腰を落とし、ボスを待ち構える。


「GUAAAAA!!」


「っらあ!」


 真正面から飛んできたボスとその取り巻き達の羽を奏太はそぎ落とす。


「破ッ!」


 スキルのマナガードを発動し、防御力と攻撃力を高め、ボスの頭を殴る。と、バキッという音を鳴らして吹き飛ぶ。


「せいッ!」


 そのままの勢いで回転蹴りをし、取り巻きの足をへし折る。


「だらぁ!」


 おれの回転蹴りに合わせて上に飛び上がっていた奏太が着地と同時に回転切り。バランスを崩して倒れていた取り巻きたちの頸を切り落としていく。


「あ、もう終わりか。」

「まあC級だしな。」


 :ええ…

 :C級探索者ワイ、涙目

 :なんだろう、バケモノの仲間も化け物なんだなあって


「なんか…ひどくね?この人たち。」

「リスナーなんてそんなもんだ。気にしたら負け。」

「そんなもんなのかあ…」


 そんなもんでもねえだろ…とつぶやいている奏太を横目に、ボスの魔石を回収する。


「じゃ、これでおわりか。」


 :配信時間驚異の一時間

 :一時間でダンジョン攻略したの?コイツら…

 :っぱ化け物だね


「つってもこれで終わりじゃ詰まんねえしな。帰り道の途中までは配信するか。もちろんモザイクかけるけど。」


 :ええやん、ロケ番組みたいで

 :ロケ(血みどろ)ええな!

 :はい、採用。


「じゃあダンジョンでるか。」

「おー。」


 二人で軽く話しながらダンジョンを出る。


「じゃ帰りますかね。」


 おれがそう言うと奏太もうなずく。


「─────ってのがさー」

「あーわかるわかる。俺もたまにそれある。」


 二人で雑談しながら狭めの路地を通る。

 ふと、薄暗い。そう違和感を覚える。


「は?」


 真っ先に横の奏太が声を出す。


 ここ…どこだ?


 ♤♠♤


 幾何学的な模様が描かれた壁。少し経つと人工的な光が点く。


「どうなってんだ?」


 :こいつらの帰り道ってこんなハイテクなんだー(白目)

 :え?何が起こった!?

 :これ、偶発性のダンジョンじゃね?


 ふと、コメントに目を向けると偶発性ダンジョンではないかという声が多くある。


 偶発性ダンジョン。

 何の予兆もなく、突然現れるダンジョン。

 一度ダンジョンの主というものを倒せば崩壊するが、B級探索者でも不可能に近い。

 その理由は。


「おい、モンスターきたぞ。」


 目の前のモンスターに目を向ける。頭は液体のようで、金属質。胴は虫のようで、鳥のようでもある。手足は鋭い爪が付いているが、人間のようでもある。

 おおよそ形容しがたい目の前の化け物。そいつは禍々しいマナを帯びており、甲高い声を上げる。


 主を倒すのが不可能に近い。その理由は…一体一体がボスモンスターだからだ。


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