第11話 武器購入(奢り)

 どうも、勇也でございます。

 本日は遥斗が武器を選んでくれるということで探索者の装備専門店である『カネマツ』という店に来ているわけでございますけども。


「武器…ありすぎじゃね!?」


 見渡せば武器、武器、武器。眩暈がしてきた。


「あはは、そこまで驚く?」


 この数週間でかなりおれ達の距離は縮まった。と思う。

 実際話をする頻度も増え、おれの中では知り合いから友達にランクアップしている。


「いや、驚くだろ。こんな量あるんだぞ?」

「最初はそういうものなのかなぁ。」


 とりあえず前衛用の武器や防具のあるコーナーに移動する。


「しっかし付き合ってもらって悪いな。ほんとは奏太と来るつもりだったんだが断られちまってな。」


 なんでも奏太も探索者になれたらしいので、武器を買いに行こうと誘ったのだが、俺たちはライバルなんだよ。とよくわからない理由で断られた。


「いや、いいよ。僕もちょうど買いたいものあったし。」

「そっか、ありがとな。」


 こういう気遣いができるのも遥斗のいいところなのだろう。


「さてと、何を買うとするかな。」

「いらないかもだけどオススメも教えようか?」

「お、助かるわ、コスパのいい奴教えてくれ。」


 予算は十万ほど。できればコスパのいいものをそろえたいが…

 そんなことを考えながら割と低価格のダガーを見ていると、遥斗は意外なことを口にする。


「コスパ?僕のおごりだから気にしなくていいよ?」


 オゴリ?オゴリって何だろう。ああ、奢りか。

 奢り…奢り!?


「いや!奢らなくてもいいって!?買い物にまで突き合わせてるんだからさ!」

「いや、そう言われてももう余分にお金持ってきちゃってるから。あくまでベテラン探索者からの厚意だと思ってよ。」


「…まあ奢ってくれんならそれに越したことはないんだけどよ。」


 しぶしぶ了承し、武器を選ぶこととなった。


「君はどんな武器を使いたいとか決めてるの?」


 使いたい武器か、ダガーは使いやすくはあったがメインの武器にしたいかといわれると微妙だ。


「…あんま決めてないな。」

「そういうと思って君におすすめの武器種は決めてあるんだ。」


 さすが遥斗だ。用意がいい。


「まずは…これかな。」


 そう言って渡してきたのはクローだ。


「へえ、クローか。おれに使えるのかな?」

「配信を見た限りでは君に合っていそうだったよ?」


「まああと二種類選んでいるから、決めるのはそのあとでもいいと思うよ。」


 そう言いながら次に手に取ったのは


「薙刀?」

「といってもただの薙刀じゃないよ。」


 ほら、と遥斗が言うと薙刀からガチャガチャと音がする。

 するとあっという間に三節混になった。


「おお、これなら使いやすそうだ。」

「この薙刀はギミックウェポンといってね、アメリカのある人が考案したんだ。この穴に自分のマナを流し込めば仕組みが起動するようになってるんだ。」


 仕込み、変形、ギミック。それは漢のロマンといっても差し支えないだろう。

 おれは感動しながら遥斗の肩をたたいた。


「わかってんじゃねーか…うれしいぞ、おれは。」

「…あはは、やっぱりこういうのが好きなんだ。」


「さて、最後の武器を紹介しようか。」

「待ってました!」


 そうして最後に手に取ったのは俺が見ていたダガー。


「…ただのダガーってことではなさそうだな。」

「そうだよ。これもギミックさ。」

「ギミックの内容は…見てもらったほうが早いかな。」


 そう言って遥斗は店の奥へと進む。


「どこいくんだ?」

「ああ、奥にある訓練場さ。ここでギミックを使うと少し危ないからね。」


 そうして二人で店の奥へと行く。と、そこには割と広めの空間があった。

 奥には人形があり、そこで武器を試している人たちもいる。


「よし、ここらへんでいいかな。」


 そうして遥斗が武器を構えたのは人形から数十メートルも離れた、おおよそダガーでは届かない場所だった。


「?その距離でなにを…」

「スラスト」


 そう遥斗が口にするとダガーの先からまばゆい光が放たれるとともに、その先に定められていた人形は跡形もなく消え去っていた。


「今のは…!?」

「マナを消費して合言葉を言うことで刃先から弾を打ち出す。有効射程は最大で五百メートル。俗に言うマナライフルってギミックだよ。」


 刀身が真っ赤に染まり、先から蒸気がでているダガーを回しながら、遥斗は説明してくれた。


「すっげえな!」


 おれは思わず遥斗の手を握り締める。


「ひゃいっ!」


 あっ、いくら友達とはいえ、さすがにいきなり手を握られたらそうなるわな。


「あっ、スマン。」

「…いや、いいよ。少し驚いただけだから。」


 顔を赤くした遥斗がそう言った。

 まあだよな、怒るよなそりゃ。


「…コホン。まあとにかく、どれにするか決まったかい?」


 軽く咳ばらいをして話を戻した遥斗がそう聞いてくる。


「どれ…か。どれもよかったんだよなぁ…」

「…じゃあ全部買う?」

「え゛。」

「気にしなくていいよ、そこまで高い買い物でもないから。」


 奢られてばかりで申し訳ない。今度何かお返しないとな。


「…ありがとうございます。遥斗様ぁ!」


 おれは深く頭を下げ、感謝の意を伝える。


「あはは…そんな畏まらなくてもいいよ。」

「代わりにといっては何だけど、今度僕のお願いを聞いてくれないかな?」


「はいぃ!なんなりと!」


 我ながら素晴らしい舎弟ムーブだ。


「じゃあ買いに行こうか。」


 そうしておれたちは訓練場を出た。

 奏太は展示品をもとの位置に戻し、その前にあるバーコードの書かれたプレートを取る。

 レジで支払い、商品を受け取っていた。

 三点合わせて五百万だった…


「はい、これ。」


 そうして武器の入った箱を渡される。


「じゃあ、帰ろうか。」

「おう。」


 夕日でオレンジに染まった道を二人で歩く。


 ちなみに帰り道で姉貴とばったり出くわし、なぜか修羅場みたいになったのはまた別の話。


「じゃあ僕はここで。」

「おう、さっきは姉貴がゴメンな?」

「いやいや、気にしてないよ。面白いお姉さんだね。」

「そう思ってもらえるとありがたい。」


 そうしてちょうど交差点で別れた。


「ガルルルルゥ…!」


 ちなみに後ろでうなり声をあげているのは姉貴。


「なんで怒ってんだよ…」


「あの女狐め…」


 おれが問いかけてもブツブツとよくわからない呪詛を口にするだけ。

 かえったら兄貴に聞いてみるか。

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