幽愁暗恨
11話 ガキじゃないんだ
呪いなんてあるのか?
確かに呪った
呪ってしまった
でも本当に呪われるなんて思っていない
高校生にもなって、そんな非現実的な事と現実が区別つかないわけないだろ
呪いなんてない
だから起こるわけがないんだよ
俺は階段をまた一歩昇る
呪いを否定しながら、また一歩昇る
これはあいつの意思で、俺の呪術は関係ない
でもあいつはまた一歩屋上へと階段を昇る
だから俺も一歩昇る
確かめるんだ
確かめるんだ
俺の呪術が成功しているか
もし術が決まっていたら
「はははは……ざまぁみろ」
言葉が漏れてしまう
呪いなんてない
でもあいつが俺の呪術で死んでもいい
死んでくれるなら、呪いを信じてやる
だから……殺してみろ!!!
今日は朝から憂鬱だった
明後日から夏休み、今日は大した授業はやらないはず
なのに朝から小テストがある
まったくやってられない
どうせ担任が嫌がらせというか、夏休み前に喝でも入れようという魂胆がみえみえ
学校の勉強なんか社会に出れば使うことなんてないし、勉強のための勉強に何の楽しみも見出だせない
本当に、くだらない毎日だ
学校へ続く道を見ると、蟻のような黒々とした頭の学生達がゆらゆらと思い思いに歩いている
俺はこの光景を毎朝見ているんだけど、毎日疑問に思っている事がある
こいつらは何を思って歩いてるんだろ
目の前に居るこいつらだけじゃない、道路には車が走っていて、走っているということは運転手がいる、コンビニから出てくるガテン系の兄ちゃんも、コンビニの店員も、俺とは関係の無いところで存在してそれぞれの人生を生きている
凄く不思議だ
俺にとっては人生の何も関係のない人間達、本当に路肩の端を列をなして歩いている蟻と大差ない
俺と関係のない人の死だって、このクソうるさく鳴いているセミの死と大差ない
毎日のように電車で自殺したり、交通事故を起こして死んでいるんだ
友達や家族なら、悲しいさ
でも他のやつらはセミと一緒だろ
俺の人生にはあんまり関係がないさ
周りなんて関係ない
俺は俺の友達と楽しく過ごせればいいんだ
様々な髪型をした黒々とした頭の列に、ひとつだけ朝日を浴びてキラリと光る頭がある
俺はそれを発見すると、足早になりその頭を撫でるように叩いてみる
「うわぁ」
そう言って振り替える坊主頭の男子、五十嵐千早
「なんだぁー、タカくんかぁー、おはよう」
「おはよ、千早。剛志は?」
いつも千早と一緒にいる大男 剣崎剛志を探す
突然、朝とはいえ夏の太陽、上から来るはずの太陽の光が何かに遮られ、俺を影にする
「千早、崇。おはよう」
「おはよう、タケくん」
「おはよ。剛志」
家がお寺のわりに、宗派問わず色々な不思議なこと、考え方が大好きな
高一で既に180cmを越える巨人、でも優しくて絶対に暴力を奮わない優しい男、
そして俺、
クラスでも一番の仲良しで、三人の名前のイニシャルが同じ事もあって「チームT」とみんなはそう呼ぶ
ダサいと言うか中二病的な呼び方だけど、俺達はそれを受け入れていた
「おはようございます、チームT」
三人の名前を個々に呼ぶのがめんどくさいのか元気よく女子が挨拶をしてくる
「おはよう。菖蒲さん」
だいたいこういう時に、一番に返事を返したり、人に話しかけるのは剛志だ
デカイ図体が与えるプレッシャーなんて考えてないに違いない
「今日も三人、仲が良いですね」
この何事も前向きで、楽観的と言うか、ポジティブな女子は菖蒲綾女だ
そもそも俺たちを「チームT」と言い出した張本人がこの菖蒲綾女だ
「三位一体で「俺を踏み台にしたー」っての何でしたっけ?」
「あぁーそれはね」
菖蒲は外国で暮らしていたとかなんとかで、日本のアニメやアイドルの知識が全くって言っていいほど無い
「そうでした、勉強になりますね。勉強と言えば、朝テストですね」
「だね、頑張ろうね。菖蒲さん」
「はい、じゃあ先に行ってますね」
そう言って菖蒲は短すぎるスカートがめくり上がるのを気にしないくらいにスキップしながら先に行ってしまう
見えそうで見えない……けど
「エロい脚してるよな」
華奢ではないが、ほどよく細くて締まりのある太ももが見え隠れ……エロい
「あーータカくん。菖蒲さん好きなの?」
千早がニヤニヤしながら俺を見る
「ちげーよ。違うけど純粋にエロいなって」
「純粋にエロってどういうエロ?純粋じゃないエロって!?」
「お前なぁー」
「千早、崇が好きなのは眞藤さんでしょ」
「そうなの!?」
「ちげーよ。眞藤は甲塚いるだろ」
「そうなの!?」
「甲塚くんは花屋敷さんでしょ」
「そうなの!?」
「千早いちいち、うるせーよ」
「でもさ、実際どうなんだろうね、あの3人」
「眞藤が甲塚好きなのは、間違いないだろ?いっつも見てるし」
「なんでいつも見てるの知ってるの?タカくん!?」
「それは……」
「崇がいつも眞藤さん見てるからわかるんじゃないの!?」
「そうなの!?」
「だから、うるせーってば」
「あっ、噂をすれば花屋敷さんがいるよ」
クラス委員で成績優秀、御高くとまって俺達とは違うというオーラがバンバン出ている女 花屋敷夏蓮
俺はこの女が嫌いだ
自分以外の努力は認めない、自分より劣る人間は努力はしていないって感じで、俺を蔑んで見ている感じがする
「花屋敷さん、おはよーーー」
剛志がそんな花屋敷のプレッシャーなんて関係ないというか、ただ鈍感なだけなのか、声をかける
「剣崎君、おはよ」
「暑いね、眞藤さん待ってるの?」
「えぇ」
「本当に仲が良いね」
「あなた達、3人もね」
そう言いながら俺たちを見る
全部を理解しようと詮索するような視線………ムカつく
「僕らは前世から友達だからね」
ニコニコしながら千早が言う
「前世からね」
花屋敷はフンっと鼻で笑う
「そうだ、たぶん眞藤さんと花屋敷さんも前世からの運命を持ってるんだよ」
「ははは、そうだと面白いね」
適当な相槌、全くもって興味なしって感じ
こんな女といつまでも話してたって仕方ないだろ
「つうか行こうぜ、暑いし、朝テストあんだからさ」
俺は会話をぶった斬るようにいうと、千早がそれを察知して切り出す
「そうだね、じゃぁ花屋敷さん、教室でね」
「うん」
俺が花屋敷が嫌いな理由は、優等生って事じゃなく「偽善者」で自分がいつも有利になるように動いている感じが鼻につく
甲塚と花屋敷と眞藤の関係
剛志と千早は仲が良いって言うけど、俺から見れば甲塚と眞藤との間に入って、仲良くなるなるのを阻止しているのが花屋敷
……それは俺にも好都合だから、いいんだけど……
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