屋烏之愛

1話 登校

一目惚れってあるだろうか?

絶世の美女

スーパーモデル

ハリウッドスター

プロのスポーツ選手

アイドル


いや街で一番のイケメン程度でも


どれも一瞬で心を引かれてしまう異性ではあるかもしれない

けど、目の前に現れても、まるで別次元の世界の住人のように距離をおいてしまうものじゃないかな?

気づいたら好きになっていた

顔も悪くはないけど、良くもない

意地悪もされるし、よくからかわれるし

なんでかわからないけど、心が引かれて


好きになってた


そういう事の方が多いよね


もっと大人になれば、出会ってすぐに燃え上がるような……はぁ……私…朝からエッチだ…


今日は2000年 7月20日 木曜日

眠い目を擦りながら朝のニュース番組を見ると女性アナウンサーが笑顔で関東地方の天気予報を読んでいる

「今日は1日、快晴でしょう。熱中症にお気をつけ下さい」

今日も30℃を越えて暑くなる

日焼け対策をちゃんとしないと、小麦色の女子高生の出来上がりだ

ギャル系の子には、日焼けサロンに行かなくても、こんがり焼けてお得かもしれない


「いってきまーす」

誰もいない部屋に挨拶をして、鍵を閉める

外に出る頃にはもう蒸し暑く予報以上の天気になるかもしれない

太ったサラリーマンは流れる汗を手拭いで拭き

犬も猫もすでに日陰でぐったりとして

日傘をさしているお婆さんなんか、全然前に進んでない

本当に嫌になる暑さ

でも私の歩みは風のように軽やかで、学校に行くというだけで、暑さも感じる暇もなくウキウキが止まらない

明後日から夏休み

夏休み中は会えなくなっちゃう

だから夏休みになる前にもっと仲良くなって、夏休みに一緒に遊べるくらい………二人っきりで遊べるくらい

そしたら海に…ううん、近くのプールでもいいから一緒に行きたい。昨日見た怖い番組なんかを二人で一緒に見たり、浴衣を着て花火を見に行ったり、キャンプに行ったり……そして……


「こんな暑い日に、ニヤニヤしながら歩いて」

突然の声に妄想の世界から現実に引き戻されると、目の前いっぱいに大きな瞳が現れる

「か!!夏蓮かれん!!?」

「ボーーーーーっと歩いてると思ったら、どんどん顔がニヤついていってたよ、なんか良いことでもあった?」

「ううん、そうじゃなくて……ははは」

「どうせ、るいの事だからエッチな妄想でもしてたんでしょうけど」

「人を発情期みたい言ってー」

「みたいじゃなくて、そうでしょ」

「ぶー」

この子は、友達の花屋敷はなやしき 夏蓮かれん、田舎から街の高校に出て独り暮らしをしている私に、この街の事や身の回りの世話までしてくれるクラス委員やってる頼れる友人

あっ私の名前は、眞藤しんどう るい

泪(なみだ)と書いて、泪(るい)って読む

生まれた時、産婦人科の先生も驚くくらいに泣いていた私は、そう名付けられた

本当にそうかは信じられない

でもお父さん私の顔を見て、予定していた名前をやめて、るいが良いと思い泪を当てたとも言ってたけど

「で、なんでニヤニヤしてたの?」

あー本当に妄想でニヤニヤしていたので言い返せない

「もうすぐ夏休みじゃない、のんびり出来るなぁーって」

「泪は独り暮らしなんだから、別に夏休みになってもあんまり変わらないんじゃないの?」

「やっぱり朝はゆっくりしたいよ」

「と、言うより夜遊びしたいって感じかな?」

「あっあーそうだね、深夜の番組も面白いもんね」

「そうね、エッチな番組あるし」

「って、また発情期みたいに言ってー」

と二人で騒ぐ、いつもの登校の景色

ううん、もう一人、私の毎日に欠かせない人がいる

「なんだよ、女子のクセに朝から眞藤発情してんのか?」

いきなりそう声をかける男の子

私より少し背が高くて、どこにでも居る感じの男の子

でも私は会うと、あー今日も会えたね頑張ろうって、心が踊り出しちゃう

甲塚こうつか陽介ようすけくん、私が今一番気になっている男性

「いや泪の発情は朝限定じゃないから、陽介も狙われるかもしれないよ」

夏蓮がとんでもないこと言う

「マジかよ、誰でもいいのかよ眞藤」

陽介くんもそれに乗っかって私を目を細めて見る

「なんでそうなるのよ!私は正常です」

私が怒ると二人がドッと笑う

うん、いつもの楽しい毎日

「って言うかさ、なんで眞藤まだいんの?」

「えっどういう意味?」

「昨日は西藤が日直だったから、今日はお前だろ?急がなくていいの?」

陽介くんの言葉に私は絶句する

そう言えばそうだった。しかも朝、小テストをする告知がされてて

「あー、日直も忘れてたけど、テストも忘れてたぁ」

私は情けない声をあげて、二人を見てみる

夏蓮はやれやれって私を見て、陽介くんは走れ!!と激励してくれる

私は持てる力を振り絞り全力で学校へ走り出す

「ダメね、脚が遅すぎる」

と夏蓮の冷静な判断を聞きながら…

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