『図書館の暗号』 廃校舎に眠る15年目の真実

ソコニ

第1話 新任教師の違和感

語り手:国語教師・木村咲


私の机に届いた一通の招待状。差出人は白石校長。15年ぶりの同窓会。場所は取り壊し予定の母校——私立東明学園。


封を開けた瞬間、違和感が走った。なぜ今なのか?なぜ廃校になる校舎で?そして、なぜ特定の7名だけが招待されたのか?


「図書館事件から15年。真実を語るときが来ました」


招待状の追伸に記されたその一文が、私の心を掻き乱す。15年前、図書館から出火。生徒会長の中村が死亡。警察は事故として処理したが、私には分かっていた。あれは事故ではない。


雨の降りしきる夜。私は懐中電灯を手に、廃墟同然の校舎に足を踏み入れた。蛍光灯が薄暗く明滅する廊下。剥がれかけた壁紙。錆びついたロッカー。全てが15年前のままで、まるで時が止まったかのよう。


集合場所の職員室で、他の参加者と対面する。


斎藤健一:当時の生徒会副会長。中村の親友で、事件後、教職の道を諦めた。

山下清:30年以上勤める用務員。校舎の隅々まで知り尽くしている。

田中美咲:元国語教師。事件後、突然退職。

加藤俊介:元PTA会長。息子が事件に関与していた噂。

高橋探偵:警察OBの私立探偵。当時の捜査に疑問を持ち続けている。

そして白石校長。15年前は教頭で、事件の調査委員長を務めた人物。


「皆様にお伝えしなければならない重大な——」


白石の言葉が途切れた瞬間、校舎が闇に包まれた。突然の停電。非常用電源も作動せず、携帯電話の電波も圏外。雨音だけが異常に大きく響く。


誰かが懐中電灯を灯した時、私は気づいた。白石校長の姿が消えていることに。


翌朝、図書館跡で発見された白石の遺体。首には絞められた跡。そして、死後、何かを探られた形跡。遺体の横には、破り取られた古い写真。端に写り込んだ図書館の書棚。そこには、15年前の秘密が隠されているはずだった。


私は知っている。この学校で何が起きたのかを。なぜなら、私は——。

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