エモーショナルとはこういうことなのでしょう。
こちらの作者さんのストーリー構成やキャラクターが好きで別作品から推させていただいておりますが、それ以外にも好きな部分があります。ワードセンスです。
当作品も、作品タイトルが「春もたけなわ」、ストーリータイトルが「置いてきた季節と雨はうたう」……カーーーッ何故思いつく! 綺麗過ぎる! 私が三十回生まれ変わってもこのタイトルは思いつきません。もちろんワードセンスが光っているのはタイトルだけでなく本文もです。
巧みな文章表現を用いた演出の中で短い中でもストーリーが彩られています。
同窓会で再会する二人、気づく相手の変化、二度と交わることのない人生、蘇る思い出。誰しもが経験するような青い恋の終わりを見た気がしました。私には見えました、景色が。経験していないはずの思い出、存在しない記憶が蘇ってきました。
はあ、胸が痛い……。二人はこれでいいのに私の胸は未だ切なく締め付けられています。