第5話
暫く無言の後、
「理由は」
「えっと、準備に時間がかかって」
「へぇ。いつも10分もかからずに終わるお前が?今日は3時間も掛かったわけだ」
「ごめんなさい。嘘です。二度寝しました」
低い声に正直に白状すれば、はぁ、と電話越しに溜息を吐かれた。そして「早く来い」とそれだけ言われて電話は切れた。
もう向かってますよー、と心の中で呟いて20分程度歩いて目的地の前で足を止めた。
「ほー、ここかぁ」
夜に映えそうな黒い高級感のある建物をまじまじと観察して、店名が書かれている看板を見る。
──『Violl』
所謂、バーである。開店は18時からで店の前には準備中という札がぶら下がっている。
それに目も止めず、扉を開いて中へと体を滑り込ませた。
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