卒業アルバム

『別冊グロー』(2019年3月12日発刊分)【寄稿:高橋誠吾】


今私の手元には、一冊の卒業アルバムがある。学校名が刻まれている表紙は非常に手触りの良い仕上げがされており、それだけで持つ者を特別な気分に浸らせてくれる。卒業アルバムとはそれほどに特別なものであり、若者たちの価値ある時間が刻まれたものなのである。しかし、私の手元にある卒業アルバムはほかのものとは違う。このアルバムはある方からお譲り頂き、こうして記事にまとめてほしいという依頼があったものである。私はその方の想いにこたえることとし、こうして記事にまとめることとした。

まずこの卒業アルバム、表紙には『静岡県立安久中学生 卒業アルバム』と書かれているのだが、この学校、どこにも存在しない学校の名前なのだ。それだけ聞けば、そんなものはいたずらで作られたに違いないと思われることだろう。だが、そうとも言い切れない点があるのだ。この卒業アルバムには、一学年141名の卒業生の名前と顔写真が載せられているのだが、そのうち95名に関しては写真の部分が上から黒塗りにされているのだ。それも最初から黒く印刷されていたわけではなく、何者かが印刷された写真の上から黒く塗ったとしか思えない性状をしているのだ。それはまるで、この生徒たちになんらかの恨みでもあるのかと言わんばかりの雰囲気である。その雰囲気は非常に不可解で、どこか恐ろしさを感じずにはいられない。

しかし、私が気になったのはむしろ黒塗りされていない45名の顔写真の方である。私が独自に調べたところ、この45名にはある共通点があることが分かった。というのもこの45人、かつて姶良西高校の修学旅行中に集団で失踪してしまった生徒たちの顔と名前とぴたりと符合しているのだ。時期から考えておそらく、行方不明となる直前に撮影されたものであろうと推測される。

彼らは明確な姶良西高校の生徒であるはずなのに、どうして安久中学校などという学校の卒業アルバムに名前があるのか、そもそもこの学校はどこにある学校なのか。これがいたずらで作られたものであるのなら、誰が何のために作ったというのか。私はこれからもその答えを追い求め、調査を続けようと思っている。

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