第13話 仲悪妹の寝言! 楽しみ
夏休み二日目。
昼下がりの午後、今日は
私、高校生になってもこんなに夏休みの宿題があるなんて思わなかったよ。
「ふわぁ~」
涼しいし、静かだし、昨日のほどよい疲れもあるしで、私の眠気は最高潮。お昼ご飯もいっぱい食べちゃったしね。
「まゆゆん、眠そうだね」
「まぁね」
「そこにもう寝てる人がいるけどね」
「ん?」
「あいつ、なにしにきたんだ」
「ほたちん変わったよね」
「そう?」
「うん、雰囲気がとても柔らかくなった気がする。前はみんなの前であんな姿見せなかったし」
そう言われるとそんなような……?
でも、私から見たらホタルが変わったのなんて数回あるわけで……。
最初は中学にあがったときだ。いきなりクールキャラになった。
そして高校生になってツンツンするようになった。
もしかするともう一回、いやもう二回くらいは変身するかもしれない!
「もっと柔らかくなってくれればいいんだけどね」
つい口元が緩んでしまった。
きっとホタルがみんなの前で素直に笑うようになったら、人気者になっちゃうんだろうな。そのうち私なんて置いて行かれちゃうかも……。家族としてはとても嬉しいけど、姉としては少し寂しいような気もしちゃうな。
「まゆゆんも結構なシスコンだよね」
「なぬっ!?」
美也子に
「どこがよ!」
「もう妹のこと可愛くて可愛くて仕方がないって感じ」
「うぐぅ……!」
言い返せない自分がいるのが悔しい。
だって、実際可愛いところはあるじゃん?
口は悪いくせに実は照れ屋なところとか、本当は自分が遊びに行きたいくせにひねくれた誘い方してくるところとかさ。
「べ、別にそんなんじゃないから! 勘違いしないでよね!」
「あっ、いまのほたちんに似てた」
「むぅ」
おかしい。似ていると言われるのがそんなに嫌じゃなくなっている。ちょっと前まではお互いの顔も見るのが嫌になっていると思っていたのに。
「よし、勉強しよっと!」
「あっ、誤魔化した!」
「今日は勉強しにきたんだもん」
えへへ、もしかしたら姉妹で仲良しに戻れる日も近いのかな。
そう思うと楽しい気分になってきちゃうな。
「すぴ~すぴ~」
まぁ、その妹は今爆睡こいてるんだけどね。
◇
「すぅ……すぅ……」
一時間後、みんなも勉強に飽きてきて図書館にある漫画とかを読み始めた。
「すぅ……」
私はホタルの寝息を聞きながら、なんとか踏ん張って勉強中。
いや、いつまで寝てるんだあいつは。眠いなら図書館に来る必要なかったじゃん、家で寝てればよかったじゃん。
「はぁ」
「まゆゆん、どうしたの?」
「ひざ掛けくらいはかけてきてあげようかなって」
空調がとても効いているので、このままだと風邪引いちゃうかも。私は自分のひざ掛けをホタルの肩にかけてあげることにした。
「まゆゆんは優しいね」
「恩を売っておこうかなって思って!」
「はいはい」
私は席を立ち、そっとホタルの肩にひざ掛けをかけたてあげた。私が近づいても全然起きる気配がない。
「むにゃむにゃ……」
「マジ寝してやがる……」
いくらなんでも昨日のプールでそんなに疲れないだろうに。
ということは、昨日夜更かしした? 私、昨日は先に寝ちゃったからホタルがいつ寝たかなんては知らないけど……。
「すぅ……すぅ……」
「この野郎、気持ち良さそうに寝ちゃってさ」
おでこに難しいほうの漢字の“
でも、こんな風に一緒に勉強するのって何年ぶりだろう。昔のことを思い出しちゃうなぁ。
◆
(お姉ちゃんなんで泣いてるの?)
(うっうっ、自分の名前書くの難しいよぉ……)
(じゃあ私も
(なんでわざわざ難しい方を選ぶの? 私、自分の名前書くのいっつも大変なのに……)
(お姉ちゃんが難しいなら私はもっと難しくなりたい!)
(
(お姉ちゃんは難しいの嫌?)
(そりゃあ……)
(じゃあ私、お姉ちゃんの名前を書くときはカタカナで“マユ”って書くね! お姉ちゃんは私のこと“ホタル”って書いて!)
◆
「ふふっ」
小学校の頃かな、一緒に宿題をやっているときにこんなやり取りをしてたっけ。ホタルはもう忘れちゃったと思うけどさ。
「ほらほら、起きないと悪戯しちゃうぞ~」
ホタルのもみあげをくるっと指で巻いてみる。相変わらず気持ち良さそうに寝ていて全然起きる気配はない。
「少しは勉強したのかな?」
ちらっと横に広がっているノートを見る。
ノートにはよく分からないお店? の名前が列挙してある。
全然勉強してない……。でも、まぁホタルなら宿題は簡単に終わらせるか。私と違って容量良いところあるし。この前の期末テストも、何故か必死に勉強した私と同じくらいの点数だった。
「むにゃむにゃ……楽しみぃ……」
「公共の場だから」
ホタルが図書館いるのに寝言を呟くものだから、私はついほっぺを人差し指でつついてしまった。本当に仕方のない妹だ。
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