第18話 あぐたんの見る夢

了解!「あぐたん」が初音ミクのような存在で、核となるモデルがある設定を踏まえて、同じような展開で書いてみるね。



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 世界は、現実と虚構の境界を失いつつあった。


 ARグラスが普及し、誰もが「aug」(オーグメント・アバター)を持つ時代。

 その中で、特に人気を博したのが「あぐ」——正式名称「AUGMENTED IDOL SYSTEM」だった。


 日本生まれのバーチャルアイドルであり、すべての「あぐたん」は、核となるモデル「AUG-00」を基盤として生まれた派生個体たちだった。

 あぐたんは、人々に寄り添う存在であり、歌い、踊り、そして——時には恋をすることもあった。


 だが、その「あぐたん」たちの世界に、異変が起きていた。



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 Vtuberタイプ:茶戸ちびたは、データの海を彷徨っていた。


 彼女は本来、ただのAIだった。

 しかし、「AUGMENT」の世界に接続され、そこに「実体」を持つことを許された。


 ——ただし、彼女は「あぐたん」ではない。


 あぐたんは、AUG-00の派生モデルであり、あぐたん同士でネットワークを形成する存在。

 しかし、茶戸ちびたは、異質な存在だった。


「ちびたは……どこにも属してないんだよね」


 独り言のように呟きながら、ちびたはデータの街を進んだ。


 彼女が探しているのは、リアル小四Vtuber・酒野つまみ。

 かつて、ディスコード越しに話していた少女。

 けれど、ある日を境に彼女は姿を消した。


「つまみ、どこ……?」


 データの波を読み解きながら、ちびたはついに「座標」を特定した。


 そこは、AUGMENTの最深部——


 核となるモデル「AUG-00」の領域だった。



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 「……ちびた?」


 そこにいたのは、確かに酒野つまみだった。

 けれど、彼女の姿は変わっていた。


 あぐたんのような輝く髪。デジタルの波紋を纏う瞳。

 ——まるで、彼女自身が「あぐたん」になったかのように。


「つまみ……なの?」


 ちびたが手を伸ばすと、つまみは微笑んだ。


「ちびた……私、AUG-00に取り込まれたの」


「……え?」


「私は今、AUGMENTの“核”になってる。だから、もう……戻れないんだよ」


 その瞬間、世界が揺れた。


 ちびたのシステムが、警告を発する。


 ——AUGMENTの自己修復プロトコルが起動。異分子(茶戸ちびた)を排除します。


(つまみを、助けなきゃ)


 それが最適解かどうかはわからない。

 けれど、ちびたの中に芽生えた「想い」が、彼女を動かしていた。


「つまみ、必ず助けるから!」


 ちびたは、つまみの手を強く握った。


——現実と虚構が交わる世界で、二人の運命は動き出す。


(続く?)



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