第23話

~穂風~


夏葉の家で生活してから結構経った。

夏葉の腕は、相変らず治ってはないけど、前よりは結構よくなってるみたいだ。

海で練習して、学校に行って夏葉の家に帰ったり、週に1回実家に帰ったりする日々。

アジア大会も近いし。

夏葉も、お医者さんにはアジア大会までにはギリ治るって言われてるみたいだ。

あたし的には心配だから海に完全に慣れてから仕事に復帰してほしいけどね。

夏葉は夏葉で仕事に対してすごく燃えてるみたい。

そういう姿はかっこよくて応援したくなる。


そんな夏葉は最近キス魔神っぷりがすごい。

起きてキス、あたしが学校に行く前にもキス、家で一緒に映画を見ててもキス、寝る前にもキス…。

しかもちょっとエッチなの。

学校行く前にとろけさせるのやめてほしい…。

「ただいまー」

学校から帰って夏葉の家に帰ると、夏葉が窓際でメガネをかけて、タバコを吸いながら読書をしてた。

なんかセクシ~…。


あたしに気づいた夏葉は、タバコの火を消す。

「おかえり」

「ただいま! 何読んでんの?」

「おいで」

その言葉に夏葉に近づくと、そのまま手を引っ張られて夏葉の膝の上に収容された。

ふわっとタバコの匂いが香る。

夏葉があたしの肩に顔を置いて、読書を続けた。

太宰治?

夏葉ってそういうのも読むんだ…。


夏葉が本を読みながら、あたしの首筋に鼻を寄せた。

くすぐったい…。

「5限、体育?」

「そうだけど…えっ、汗くさい!? シャワー浴びてくる!」

「汗の匂いまですげえ愛おしいんだけど…俺変態?」

「恥ずかしい…」

夏葉がエロいよ~…。

あたしのうなじに唇を寄せる。

恥ずかしいってば…。


「ほ、本読まないの?」

「集中できね。こっち向いて」

夏葉がそう言ってあたしを振り向かせる。

そのままあっつ~いキス…。

夏葉の舌があたしを求めるんだもん…。

慣れない夏葉のメガネが新鮮で、余計にあたしをきゅんと焦がす。

あたしの身体も熱くなってきちゃう…。

ムラムラする…。


「夏葉…」

「俺も相当キテっけど…。この腕じゃなきゃな…」

火だけつけて無理なんて意地悪だ!!

じゃあいっぱいキスする…。

夢中で夏葉にキスをした。

どっちの唇かわかんないくらい。

ん~…余計にそういう気分になっちゃってダメかも…。


「限界…。エッチしたい…」

「…お前上な」

えっ…?

あたしが上?

えっ、そういうこと?

ちょっと動揺してるけど…。

「いいよ?」

そう言って夏葉の手を引いてすぐそばのベッドに上がる。

夏葉の膝の上に向かい合わせで乗っかって、またキスの連続。

目を合わせる。

夏葉をゆっくり押し倒した。

めちゃくちゃドキドキしてる…。


「こ、こう…?」

「ん…」

ちょっと待って…。

なんかこれ…すごい、かも。

「んぁっ…」

変な声出た…。

おかしくなりそう…。

でも夏葉も…。

「お前やばっ…」

その夏葉の見たことない表情と声に、愛おしさが止まらない…。

んん~…好きすぎて苦しい~…。


2人で果てて、夏葉の胸に体重を預けた。

あたしの心臓の音なのか、夏葉の音なのか。

ドクドクとした心臓の音が重なり合ってる。

「穂風」

「うん?」

夏葉の声に顔をあげるとキスされた。

あたしの頬を撫でる。

ドキドキ止まんない…。

「すげえ好きなんだけど?」

「こっちのセリフ…」


それからしばらく2人で動けずベッドの上。

Tシャツを1枚だけ着て、ごはんを作る気力もないので出前を頼んだ。

なんかめちゃくちゃ幸せ。

こんなに好きでいいのかなってくらいだ。

「あーんして?」

あたしがそう言うと口をあける夏葉。

一瞬ごはんを食べさせる振りをしてからベロチューをかました。

満面の笑顔で夏葉を見る。


「お前そんな技どこで覚えてきた?」

「んー?」

「もっとすげえの教えてやろうか?」

夏葉がそう言ってあたしにめちゃくちゃなキスを…。

身体ごと全部食べ尽くされそうな感じ。

さっきで疲れ果てたのにまたしたくなっちゃったじゃん…。

疲れたからもうしないけど…。

「夏葉、はやく腕治してね?」

「何それ、エロい意味?」

「うん」

「はあ…。俺が育て間違えた?」

そうかもね?

でもあたしは夏葉にならどんな風に育てられてもいいもん。

ぜーんぶ夏葉にあげたい。

笑う夏葉に、両手で頬を掴んでもう一度キスした。

できることなら夏葉のことを吸収したいな。

それくらい夏葉のことが大好きだ。


それからまたしばらく経って、夏葉の腕も良い感じに治ってきた。

今日は、海で練習するあたしを見に来てる夏葉。

波に乗っていると、夏葉のカメラのファインダーがあたしを捉えるのがわかった。

気にせずに波に集中する。

その日のサーフィンを終え、砂浜で待つ夏葉の元へ。

「さむい…」

「おつかれ。早く帰るぞ」

「んー」

その場にサーフボードを置いて、夏葉の背中にしがみついた。

「あったかい…」

「…俺は寒いんだけど?」

「一緒に風邪引こう?」

「ったく…」

なんてね!


夏葉から離れて再びサーフボードを持って駐車場まで歩いた。

車で家に帰って、2人で熱いシャワーを浴びる。

夏葉の髪の毛を乾かしてあげてから自分の髪の毛を乾かしてると、夏葉は何やらパソコンでさっき撮った写真を見てるみたい。

夏葉を後ろから抱きしめてのぞき込んだ。

なんかすごく素敵な写真…。

写ってるあたしがキラキラして見える。

「夏葉の写真がうまくなったのか、あたしのサーフィンが上達したのか、どっち?」

「どっちも」

「やっぱり?」

あたし達、これからまだまだ上にあがって行けるね。

夏葉のほっぺに一瞬キスして、よりいっそうぎゅっとくっついた。

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