第3話
あの日を境に、里子は川の前に現れることがなくなった。川は最初は何も気にせず、いつも通りの日々を送っていた。しかし、次第にその不在に気づき、里子が自分の前に現れないことが、心に少しずつ寂しさを感じさせるようになった。
ある日、川は思い切って里子の家に行ってみることにした。里子がもう自分の前に姿を見せないことが気になり、どうしているのか確かめたかったからだ。川は家までの道を歩きながら、里子がいない日々の空虚さに少し胸が苦しくなった。
しかし、家に着いてみると、そこはまるで里子がいなかったかのように空き地になっていた。川は呆然と立ち尽くし、その場で動けなくなった。自分の目の前にあったはずの里子の家が、突然消え去ったような感覚が川を襲った。
「どういうこと…?」川はぼんやり呟いた。里子が引っ越したのか、それとも何かあったのか、その理由がまったく分からなかった。川は無意識に家を後にし、帰ることにしたが、心の中には深い疑問と寂しさが残った。
川は帰宅してから、何度も里子の電話番号にかけた。しかし、何度かけても「現在使われておりません」というアナウンスが流れるだけだった。それを聞くたびに、心の中に沸き上がる不安と悲しみが大きくなっていった。
「どうして…?」川は一人きりの部屋で呟いた。里子が何も言わずに突然いなくなったことに、川は不安と後悔の気持ちが入り混じっていた。あの時、自分が里子に冷たくしてしまったことが、こんな結果を招いてしまったのではないかという罪悪感が、じわじわと川を責め立てていた。
里子を避けていたこと、否定したこと。それらのことを考えると、どうしてあんなに無意識に里子の気持ちを無視してしまったのか、後悔の念がどんどん膨れ上がった。もしももっと早く、里子の気持ちに寄り添っていれば、こんなふうに一方的に消えてしまうことはなかったのではないかと思った。
学校にも姿を見せず、何も告げずに姿を消してしまった里子。その理由がわからないことが、川にはとても辛く感じられた。どうして自分に何も言わずにいなくなったのか。自分がどうして里子にとってそんな存在だったのかを考え、川はその答えが出ないまま夜を迎えた。
そして、川は気づいた。里子がいなくなって初めて、里子の存在が自分にとってどれほど大切だったのか、どれほど寂しいものだったのかを感じたことに。自分が彼女を否定していたこと、避けていたことが、今となってはとても悔やまれた。
「里子、どこに行ったんだろう…」川はベッドの上で呟き、目を閉じた。心に広がる空虚感が、だんだんと大きくなり、どうしようもない寂しさと悲しみが川を包み込んだ。里子がいない世界が、こんなにもつらいことだとは思わなかった。
そして、川は思った。もしも里子にもう一度会えることがあるなら、その時には、自分の気持ちをきちんと伝えたいと。その時までに、自分が変わらなければならないことを、深く感じていた。
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