第6話

私はそんなことをも

掻き消すようなものを発見した。

実に興味深いもので

それを私は拾い上げて見た。

「何を見つけたの?」

アンテナを立てるように彼女がやってくる。

「なんだろう、不思議なものだ」

紙、萎れた紙のようなもの。

いくつもの皺があり、

今にでも破れてしまいそうだ。

「あ、なんか書いてある」

まじまじとそれを読んだ。

「読んでみてよ、ねえ」

「わかったよ」

私は目を2回開いたり

閉じたりしてそれを読み上げ始める。

「私は2136年5月23日に生まれた。

街で買い物をしているとこの場所に来た。

もう戻れそうにない。

ここに私の遺書として残す」

下に名前のようなものがある。

おそらく、鷹男は彼のことを

知っているはずだ。

「おい、鷹男!」

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