第2話 プリっとした芋虫助けました。(2)
芋虫を助けてから2週間ほど経った。
学校から帰ってきて最近の日課と化したバラの根元でゴロゴロしてる芋虫の世話をする。
餌のキャベツは、食べる量が増えたので、
2枚くらいを朝晩の2回に分けて与えている。
「おつかれー今日もまるまるしてるねぇ。あ、もうお母さん水撒いてくれたんだね。心なしか嬉しそうに伸びたり縮んだりしてるね。君はいつ成虫になるのかなぁ?
…そういえばいつも呼ぶとき、君とか芋虫とかで名前つけてなかったよね。
いいかな?付けても。
じゃあプルちゃん。名前はプルちゃんですよぉ〜」
私は疲れていたので、今日も話し相手の芋虫を相手にしゃがみ込み、何となく名前をつけた。名前がないと喋り相手として不便だからね。
プルちゃんと名前をつけながら、そのプリップリボディを人差し指でつっついた。
するとプルちゃんと私の指の接点がピカッと強い光を放った。
✳︎
つんつんと頬を突っつかれているようだ。
閉じている目を開ける。
…あれ?お昼寝しちゃってた?
自分のベッドだった。時計を見ると6時半。
おっと盛大に寝てしまった様だが、寝た記憶がない。芋虫に話しかけてて…その後の記憶が…
ツンツン
左の頬がまたしても突っつかれた。
え、怖い。
状況を整理しよう。
私は今ベットに寝えていて、且つ左は壁側だ。つまりこげ丸の可能性は無い。そして親でも無い。右側を見ても誰もいない、しかも扉の外からこげ丸の鳴き声が聞こえる。たぶんお母さんにご飯を催促しているのだろう。
つまり、今誰もいないはずの壁側から、頬を突っつかれているのだ。
…突然のホラー展開だ。
これ、振り向かないほうがいいよね。そう思いゆっくりと足を床につけ、そろりそろりと扉に向かった。
「おおおおお母さん!なんか!いる!」
バタバタと急足で階段を降り、台所にいるお母さんに助けを求めた。
「っっ!!!起きたのね。ぐずっ。恵美ちゃん、鏡は見たかしら?」
そこには目が腫れて泣き腫らしたお母さんの姿があった。
ホラー体験をしたことなんてスッと頭から離れ、戸惑いながらお母さんにそっと寄り添った。
「え?お母さん?どうしたの?どっか痛い?」
珍しい。泣いている姿なんて何年も見なかったのに。前に見たのは確か…
「ふふふ。違うわ。嬉しいのよ。いいから鏡、見てらっしゃい」
確かになんだか嬉しそうだ。顔を見て欲しいのか?私の顔を見たところで虚しいだけ…
仕方なく洗面所に行き鏡の前に立った。
久々に洗面所に来たね。いつも台所で顔を洗ってたから。
電気をつけ鏡の中の自分を見た。
「え?」
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