高校3年生に進級した咲本心花は、同級生となった黄瀬亮太に惹かれ、恋をした。クラスが離れてしまった友達たちに背を押され、少しずつ亮太へ近づこうと努力する心花。だがある日、亮太にまつわるとんでもない事実が知れてしまって……
真っ向から片思いする心花さんと友達たちの関係性が物語にとてもよく効かされている点、これこそが本作の特徴であり、魅力です。
誰しも苦しみを近しい人に救われた経験ってありますよね。心花さんと友達の賑やかでゆるい会話劇はそれだけでも楽しいのですが、亮太くんが実は、となったとき、心花さんを「振り返らせずに」踏み出させるクライマックス、これです。心を撃ち抜かれるのですよ。
それは恋愛という題材を主人公と相手ではなく、主人公とその周囲という一方向からのみ描き出し、それでいてこうも豊かでリアルな“友情”を魅せるドラマの妙。しかもこれが心花さんを凜と笑ませるエンディングへと繋がっていくのです。
心地よく力強い読後感、きっとあなたに元気をくれますよ!
(「甘いか辛いか片思い」4選/文=髙橋剛)