第1章 異世界での怒涛の日々、正に攻鋼聖性勝
第1話 来たぞ、異世界だ。攻鋼聖性勝挽回だ
俺の名は
だが、今起こっていることはもしかしたら俺の高校生生活、否、
俺は異世界転移した。しかも、はまっていたゲームにとても酷似した世界である。幼馴染みの
それは下校の時だった。前方には、恋人同士と思われる
「......進路、どうする?琢磨」
「どこって、俺はもちろんスポーツ選手さ。そして、女の子にモテモテに」
「......そんな夢物語聞いてない......真面目に話そ」
「はあ、冷めてるな。深咲、お前は可愛いんだからもっと何かあるだろ」
「っ」
「アイドルとか」
「......損した......私は大学に行く。私も貴方とああいう関係になれたらなあ......」
後半の方は声が小さくて聞こえなかった。しかし大学か。第2の青春が送れそうな場である。何だかんだで深咲も夢見ているのかもしれないと思った。
「ああ、ここから異世界転移か転生でもできたらなあ」
「......そんなこと、起こるはずがない......起こるはずが......」
その時に前方を手を繋いで歩いていた2人の地面から光輝く魔方陣が現れる。その魔方陣の広さは俺達にまで達した。そうして、俺達は巻き込まれた。魔方陣の光が俺達を包む。
光が収まった後、俺達は西洋の教会の祭壇らしきところに立っていた。一番前に立っているのは秤銅牙と岩永実梨の2人。俺達はその後ろだった。
「ようこそおいでになりました。英雄の転生者様方」
「おい、ここは......」
「あはは、私達、戻って来ちゃったみたいだね」
「ヒャッハー異世界だー」
「......何でそんなに嬉しそうなの?」
俺のテンションの高さに他の3人は退いている。深咲は俺の腕をぎゅっと掴んできた。少々照れくさい。深咲の僅かに膨らんだ胸が俺に当たっている。その愛玩動物のようにくりくりした目は俺より背の低い位置から俺を見上げていた。
「......琢磨、今失礼なこと考えた」
「さあて、何のことか」
「この中の2人が転生者で、恐らく前の2人でしょうな」
「おい、俺らをどうするつもりだ。戦う用意はできてるぞ」
銅牙は剣道に使う竹刀の鞘から刀剣を取り出した。本物だ。銃刀法違反にならなかったのは何故かは知らないが、確実に秤銅牙と岩永実梨は転生者なのだろう。
「まあまあ、落ち着いてくだされ転生者様。我々も転生者様方には危害を加えないつもりです」
「他の2人は違うんだね。じゃあ、私も魔法を打つ用意はできてるよ」
「他のお2方にも危害は加えません」
2人の計らいで俺達は助かったのだろうか。まあ、ここから逃亡するのは俺も考えていたことである。深咲の腕を握る力が強くなった気がする。それはそれで嬉しい。俺は背の低い深咲を撫でる。
「っ......この変態」
「あたた。お前力強いな」
「はあ、こんな状況なのにおめえらには危機感が無いのか」
銅牙が呆れている。俺は深咲の緊張をほぐすのに一役買っているということだろうか。俺の思考を読んだのか深咲はまた頭を叩く。いい加減真面目にしろということなのだろう。
「あたたたた」
「......私は危機感を持っている」
「まあまあ、2人がラブラブなのはいいとして」
「......良くない」
「転生者様方、逃げるおつもりでしょうか。そうはさせませんよ」
「じゃあよお。こいつら2人は見逃してやってくれよ。用があるのは俺達だろう」
「分かりました。では、そちらのお2方には金貨を8枚渡しましょう」
こうして俺達は教会らしき所から解放された。銅牙と実梨の前で金貨が渡されたため、2人を信用するなら金貨は偽物ではないはずだ。こうして冒険は始まった。
「ここってアルティメットクルセイドの世界だな」
「......ゲームの話?」
俺は町を散策してこの町がアルティメットクルセイドというゲームの中のサンスカーラ城下町に似ていることに気づいた。というかそのまんまでここはサンスカーラ城下町と呼ばれていた。
「ということは、ディアボラ山の金属スライムのいる場所に行けば経験値がたくさん貰えるな」
「......琢磨、本当にそうなの?ここはゲームと同じなの?」
「ほぼ同じなんだよ。まずは武器を揃えないと。武器屋の場所は分かってるから一緒に行こう」
「......うん......」
俺の案内した所には本当に武器屋があった。それに深咲は驚いている。ゲーム通りだとここの武器屋は頑固なのだが、一度心を開いた相手には優しい。重いドアを俺は開けた。
「あぁん。ガキは母ちゃんのおっぱいでも吸ってろ」
「いやぁ、ここの鉄の武器、凄く切れ味が良さそうですね」
「ふんっ。ガキがよぉ。まあ、試しに見せてやってもいいが」
「......口が悪い」
「何だと」
深咲が店主を怒らせてしまった。睨み合う両者はもう
「まあまあ、深咲、見せて貰おうよ。ここの武器凄く格好いいし」
「お前には見せてやろう。だが、そこのメスガキは引っ込んでて貰おうか」
「......誰がメスガキ?」
「まあまあ、ここは俺が交渉するから」
「......ごめん、分かった」
小声で深咲に言うと深咲は店の前で待った。俺だけが店内に残る。俺だけになると店主は機嫌が良くなる。
「この岩、固そうだろ。だが、この短剣をこうすれば」
「凄い、穴が空いた」
俺はゲームのアルティメットクルセイドでこの店のイベントをやったことがある。ひたすらに店主を持ち上げれば武器を売ってくれることを知っているのだ。
「凄いだろ。まあ、お前みたいなガキには買えないだろうがよ、買えるようになったらおまけしといてやるよ」
「金貨1枚はあります。良ければ買わせていただけないでしょうか」
俺は金貨1枚を差し出す。店主はそれをじっと見るとにこりと笑った。そして、俺はそれと短剣を交換し買い上げたのだった。
「まいどあり。また壊れたら持ってこい。安くで直してやる」
「ありがとうございます」
俺は店を出る。深咲がこちらを見るなり近寄ってきた。
「......買えたの?」
「ああ、これは、深咲が持っててくれ。俺は素手で戦う」
「......素手で?」
深咲はいぶかしげに俺を見ている。俺達はそうしてディアボラ山に向かった。ここからそう遠くはない場所だし、穴場であった。だが、この時俺は戦闘を舐めていた。普通の日本人である俺達にはこの後の戦闘はハードになるのである。
ディアボラ山は魔物が基本的に鈍感で俺達のスピードでもやり過ごせる。だが、この山の金属スライムだけは素早い。逃げ足が早いのだが、自分より弱い相手には全力で挑んでくる。俺達は山の奥まで行き、金属スライムしか出ない場所にやってきた。
「......銀色の塊......これを倒すの?」
「HPは低いはずだから俺達でも倒せるはずだよ」
俺達を見るなり、金属スライムが襲ってきた。俺は素手で金属スライムをチョップする。素手だと手が痛いほどに固かった。だが、弱いことが金属スライム達に知れ渡ったようだ。集団で襲いかかってきた。
「これは、予想外。経験値稼ぎのチャンスだ」
「......手が腫れてるけど大丈夫?」
「まずは1匹を狙ってくれ深咲、そうすれば楽に倒せるようになるはずだから」
「......はあ」
深咲が短剣で斬りつけるが何度も躱される。俺は金属スライムの攻撃から深咲を何度もかばった。意外と痛い。舐めてかかるのは良くないとここだと俺は気を引き締める。何度も攻撃を外した挙げ句、結局俺が1匹の金属スライムを倒した。
深咲には短剣という武器は向いてないようで一撃も当てられていなかった。1匹倒した途端に他の金属スライム達は逃げ出す。レベルが一気に上がったからだろう。
「はあ、はあ。やっつけた。深咲、怪我は?」
「......ごめん......一撃も当てられなかった......それに私だけ守られて......」
「ごめん。俺もこんなになるとは思ってなくて」
「大丈夫?」
そう言って深咲は俺の傷に手を当てる。すると傷がみるみる塞がり治った。これは、治癒魔法という奴だろう。
「......凄い......でもなんでこんな力が」
「どうやら深咲の職業はヒーラー系みたいだな。そうだ、帰ったらこの金属スライムを売ってステータスプレートを2人分買おう」
ステータスプレートとはレベルや身体能力などの能力が見れるスマホくらいの大きさの板のことだ。
「......それなら......なんかスマホで出てるよ」
「えっ」
俺はスマホを見る。スマホはステータスプレートに変わっていた。
「深咲のも見せてくれないか?情報を整理したい」
「......分かった」
木月琢磨
Lv28
職業:短剣士
HP53
MP26
攻撃力51
防御力76
素早さ41
〈スキル〉
短剣術Lv2
水瀬深咲
職業:治療術士
Lv26
HP41
MP101
攻撃力29
防御力27
素早さ99
〈スキル〉
治癒魔法Lv2
「凄い成長だ。多分1からだから結構レベルが上がったはずだ」
「......それで、今日はもうこれで終わりにしない?......私だけ戦えないのは嫌だし」
「大丈夫だ、金属スライムは基本的に逃げるだけだからもっとレベリングしてもいいはずだ」
「......分かった......でも琢磨、怪我しないで」
「大丈夫。強くなってるからな」
こうして俺達はディアボラ山で金属スライムを思う存分狩った。金属スライムの死体の山ができ、レベルはお互い120位にまで上がった。ここまで来ると最強の域である。
こうして、俺達の無双状態は始まる。レベルで言うと召喚された他の2人を一気に引き離し、生身でも勝てるようになっていることに俺達は気付いていない。
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