第19話

「だって私…大翔と別れたよ」



「誰が別れるなんて言った?俺は和葉と別れる気なんてない」



「っでも…」



「勝手に居なくなってんじゃねーよ!どれだけ俺が心配したか分かんねーだろ?本気で死ぬかと思った…心臓保たねーよ」



「…っ」



「でも俺だって…どれだけ和葉が心細かったか分かってやれなかった。ごめん。一人で辛い選択をさせて…もう我慢しなくていい。泣いたっていいから」




なんで、大翔には分かってしまうんだろう。



こんなにも優しさをくれるのだろう。



ポロポロと溢れ出す涙を手で隠す。



その手に重ね合わすよう大翔の手が触れた。




「子供も和葉も俺が守るから」



「っぅぅ」



「幸せになろう」



「…い、いの?」




なんで。なんで大翔は私を責めないの?こんな優しい声で名前を呼んでくれるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る