したがって俺はお前しか見たくない

第24話

「覚えてるか?」



「んー?」



「丁度1年前の今日。俺は美里に出会った」



「覚えてるよ。もう1年になるんだねー」



「あぁ。1年なんてもんは早ぇな」



「…来年も一緒に居れるといいね」



「居るに決まってんだろ。俺から離れられると思ってんのか?」



「ふふ、私からだって離れられないんだからね!」



「上等だ」




笑うとえくぼができる美里がどうしようもなく愛しくて腕の中に閉じ込めた。


ちっちぇなー。少し力を強めただけで簡単に折れるんじゃないかって抱き締める時はいつも思う。


だからなるべく優しく抱き締めるが、どこか物足りなくて結局は力一杯抱き締めてしまう。


1年前はこんなに愛しい存在が俺に出来るとは思っちゃいなかった。


目を瞑って美里の体温を感じる。


そして記憶を1年前へと飛ばした。

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