第24話 やっぱりストーカー……
海斗との連絡が終わった紅城は事態の説明のために涼介ら三人に電話をかけていた。
「────おう、そういうわけだから名前を探してくれ。ん、また巻き込んで悪いな。あ、それと自分の名前だけ消してくれ。俺はあいつを
俺は結月との電話を切った。結月の様子はそこまで心配そうなものではなかったが、内心は計り知れない。海斗からの助けは来るみたいだが、当てにしすぎるのも良くないだろう。
紅城は全員にただ一つだけ嘘をついていた。
”鬼を倒せる”ということを。
それは自身の友を守るためである。
「これで全部終わったかな」
俺は一人自室で呟く。さっきの結月との電話で三人へ今回の怪異についての説明は終わった。既に時刻は十一時半を回っている。
ふと思いついたが、開始時刻、すなわち十二時以降もずっと起きていれば夢鬼ごっこに参加しないのではないか?もちろん俺はそんなことをしないが、涼介達を怪異から遠ざけることはできる。
そんな裏技的なものを思いついた俺だったが、自らその考えを否定した。海斗との特訓の中で、怪異に狙われたものは陰陽師が介入しない場合必ず助からないと言われたことがある。すなわち、十二時まで起きていれば逃げられるという都合の良い裏道は存在しないということだ。
ここ最近、涼介達を巻き込もうと決めたり、遠ざけようとしたり、自分の中でもイマイチ考えが統一されていない気がする。命がかかっているこの仕事に彼らは俺のためについてきてくれようとしている。それは嬉しさと同時に恐れを孕む。失うことへの恐怖が体からは拭えないのだ。
そうこうしている間に時間は進み、十二時まで残り十分となった。俺はコップ一杯の水を飲む。身につけているものはどうやら向こうに持っていけるみたいなので、護身用の刀も一緒だ。
「頼むから、せめて三人の命
誰もいない部屋で一人、そう呟いた俺は自分のベッドに体を下ろすのだった。
***
紅城が夢の世界、異界と呼ばれる怪異が作り出した空間に魂が閉じ込められた後のことである。
部屋には意識が沈んだ紅城と、連れ帰ってきていた狼がいた。そして、狼は、いや、”彼女”は紅城の眠るベッドへと近づいていく。カーテンの隙間から漏れ出した光に照らされた女の頭には獣の耳が生えていて、紅城と同じ制服を着ている。そしてその手には、手錠が握られていた。
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