パーティーから追放されたので無能回復術士は生産職のアトリエに住み込みで働きます
やちまた
幕間の章
とある冒険者パーティーの敗走
メヴァリル地下迷宮、第五階層。冒険者パーティー「鉄氷柱」はこっぴどくやられていた。
「【ドロップショット】! 隙は作ったわよ!」
水球を放つ赤毛の魔法使い。小柄な体躯を補うかのように大きな魔法帽を被り、震える拳で杖を振って目の前のオークへ目潰しを行なった。
「退路は俺が拓く! 【閃扇斬】ッ!!」
暗闇の中で鉢金を煌めかせ、声高に退路に活路を見出すリーダーと呼ばれた男が、出入り口を塞いでいたゴブリンたちに飛ぶ斬撃をお見舞いし、群がる敵のど真ん中に刹那の道を作り上げた。
「リーダー!!」
「ドンノ! カバーしてくれ!」
「うおおおお! 【耐刃殻】だンなッ!!」
闇雲に振り下ろされた大棍棒。それを大柄な肉体一つで受け止める豪壁の大男が剣士の男の背後を庇う。しかし、渾身の一撃はさしもの彼にも堪えがたいらしく、棍棒から歪に生えた角のような突起が彼の肩の肉に食い込む。その痛みに大男は歯を食いしばり、脂汗を垂らしている。
「回復するね!」
そんななか、十字架を小さく模った聖衣を身に纏い、桃色の髪を揺らす回復術士の少女が、流血している男のもとへと駆け寄った。
「うおおおおおお!!」
少女は己の限界を引き出さんとする気迫で唸る。
その腕に込められた力は果てしなく、不屈の精神が彼女に奇跡を起こし───
「でぇぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
───怪我人が差し出した肩に、消毒液を塗りたくった。
「……」
「……」
「……」
「どぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
全員そのままオークに吹き飛ばされた。
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