子連れ冒険者セレン

犬時保志

第1話 何としても冒険者でやって行く!

 冒険者だった母ちゃんが死んだ。

 10歳の私は、母ちゃんの遺品の短剣と、拡張付きサイドポーチに生活用品に炊事道具入るだけ押し込み、借家を追い出された。


 取り合えず、母ちゃんがやってた冒険者に成るため冒険者ギルドに向かった。

(冒険者は12歳から登録出来る・・・年齢詐称12歳と言えば通用する?)

「ダメ元でやって見るしか他に良い考え思い付かないよ」

 母ちゃんの代わりに炊事や家事は全部私がやってた、生活力は並の子供には負けない自信が有る。


 頭が良かった母ちゃんに、読み書きと計算を教えて貰ってて良かったよ!

 冒険者ギルドの受付、登録用紙に『セレン12歳、剣技が得意』と記入、すんなりFランクタグが発行された。

「早速薬草採取に行って来ます!」

 死ぬの分かって居たのか、最近母ちゃん結構頻繁に薬草採取に誘ってくれてた。

 辺りが暗くなって来たころ薬草10本一束を20束採取、サイドポーチに入れてギルドに帰った。


 常駐依頼は薬草買い取り表示のみ、一束銅貨10枚20束だから銀貨2枚で買い取ってもらえた。


 雑魚寝の最低宿が一泊銅貨50枚、普通の宿は食事抜き一泊銀貨1枚食事は銅貨30枚追加、この程度の収入では暮らして行けない、今夜はギルド広場で野営訓練と見せ掛け野宿する。


 うつらうつら微睡んで居ると、ポーチを開けようとする奴がいる。

 短剣を抜き、相手の首に押し付けた。

「相手を見てこそ泥しろ! 殺すぞ!!」

「一人で物騒、注意してやろうとしただけだ」

「言い訳は見苦しいぞ!」


 剣の柄で首に一撃、こそ泥のベルトを抜き後ろ手に縛った。

「何の騒ぎだ!」

「私が寝てると、こいつがこそ泥したので拘束しました!」


 誰何すいかしたおじさんは、男の顔を灯りに向け。

「こいつは素行は悪いがEランクで、Dランクに手が届いてる実力だけは有る奴だ」


 事情聴取にギルドに来る様言われ、着いて行った。


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