終戦まで残り8日
今日はいつもより少し空爆の多い日だった。文明の国もまだ抵抗を続けるらしい。僕としては潔く投降したほうがいいと思うのだが、神が負けたと仰るまでは向こうもやめるにやめられないのだろう。
「第十部隊っ、此処は敵陣だっ!占領したとはいえ、まだ文明の国の奴らが沢山いる。気を抜くなよ。我々の目的は占領した地区の保守だっ!敵兵はなるべく殺さず、捕虜として扱えっ。不利な状況になっても、決して特攻したりするなっ。生きて帰れっ。命令は以上だっ、健闘を祈る!」
永生さんは一息でそう言うと綺麗な敬礼をした。僕たちもそれに倣う。久しぶりの戦闘だ。恐怖で敬礼する手が震えた。
命令を受けた後は、各自武器や装備の確認に移った。いつ敵が仕掛けてきてもいいように聞き耳を立てながら体を休め、武器の手入れをする。
時間が経つに連れ、爆撃音が徐々に近づいて来ている気がして、僕はじっとしていられなくなった。自国が優勢なことを知っていたとしても、不安は不安だ。まだ戦争は終わっていない。
そんな僕を見て心配になったのか、永生さんが声をかけてきた。
「おいおい、大丈夫か?君は四年目だろう。今年徴兵された奴よりも怯えててどうするんだ。まぁ、怖いのは分かるけどな。新入りの為にもしっかりしろよ」
そう言って、僕の背中を力強く叩く。僕は少しだけ心強くなった。この人がいれば頑張れると思った。
永生さんは僕の元を離れ新入り兵のところへ向かう時、擦れ違いざまに耳元で囁いた。
「戦況が一段落ついたら…話したいことがある。私の天幕まで来てくれ」
何のことを話したいのか見当もつかなかったが、僕は黙って頷いた。烏の黒い羽が風に吹かれ、天幕の中へと舞い降りてきた。
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