再びりゆ先輩との帰り道
第29話 事件の深層(1)
りゆ先輩の話したいことはわかっていた。
たぶん、同じことをやられたのだ。
りゆ先輩のときには、タイミングよくスマホに電話もかかってこなかったのだろう。
後ろから組み倒されて、唇を奪われるところぐらいまでは行ったかも知れない。
唇を奪われ、りゆ先輩は自分の味方だ、と言われ、りゆ先輩が震えながら拒絶し、まち
「う・ら・ぎ・り・も・の」
とか言ってりゆ先輩の頬を平手でぺしんぺしんしたか。
それとも、もっと侮辱的なことを言って泣かせたか。
でも、それは、下校しながら話すには、あまりにできごとが微妙すぎた。
そのかわり、りゆ先輩の身の上話を聞いた。
中学校一年生で、りゆ先輩は中学校のマーチングバンド部に入部し、トロンボーンパートに入った。
しかし、りゆ先輩の家は壁の薄い共同住宅で、家でトロンボーンの練習ができなかった。
その結果。
同じ学年のトロンボーン奏者だった
いつまでも下手なりゆ先輩は、中学校でいちどマーチングバンド部から脱落した。
しかし、高校に入ったとき、義子先輩が声をかけてくれて、りゆ先輩は高校マーチングバンド部に入った。マーチングバンドに戻ったのだ。
だが、中学校から高校へと切れ目なくトロンボーンを吹き続けていた義子先輩と、もともと下手だったのにさらにブランクをつくってしまったりゆ先輩だ。
その差はさらに広がり……。
……その結果、りゆ先輩は、義子先輩が、自分を見下して優越感に
身勝手。
でも、楽器が下手で、家でも練習できなくて、部で「下手な部員」として孤立してしまったとしたら?
そう思ってしまったりゆ先輩をかんたんには責められない、と千鶴は思った。
それより。
疑問なのは、義子先輩への憎しみが強かったとしても、
それに、義子先輩は、木管とホルンが中心のブラックバードには参加していない。
ブラックバードに問題ありと決めつけ、猪俣部長や佐藤副部長を辞めさせるのならば、こんどは義子先輩まで辞めさせる、という理由にはならないはずだ。
それなのに?
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