天狗の力・かりまーす

京極道真  

第1話 1年2組 終業式

「あー、今日も暇だな。」

先生の「終了。」の声と共に4時限目の退屈な終業式、クラス会が終わった。

3月の春休み前の授業は短い。

去年の今頃はこのベテルギウス学園高等学校の合格発表で「やったー!」と世界を征服したかのように意気揚々。落ちた同士達には悪いが。

かなりのエネルギーがあふれてだし僕自身も高揚していた。中3の春休み。

しかし4月の入学からこれまで、これといって学ぶ気力がなく。

燃え尽き症候群だろうか。

なんとなく時間を過ごし、学びを消化させるだけの自分に気づく。

がその高1年の学年も、もう終わろうとしてる。

去年までの勉強づくめの日々は、なんだったんだろうか。

勉強の合間を縫ってXーTUBEを見て、脳を休めていた日々が懐かしい。

そういえば最近はオンラインゲームばかりやっている。

すっかりXーTUBEの存在を忘れていた。

今日でこの学年も終わり。明日からは春休みだ。

たまには帰ってXーTUBEでも見てみるか。

「おーい、サイ、帰ろうぜ。」

教室ドアからカイトたちが僕を呼ぶ。

僕の席は一番後ろの窓側。

特等席だった。

窓があいている。まだつめたいが、春風が一気にカーテンを揺らして入って来た。

「鳥の羽根。ハトか?少し白いな。」

「サイ。急げ、い・く・ぞー!」

「おーう。」僕は片手をあげる。

僕は机に飛んできた羽根を

スーッと手を伸ばして。

制服のポケットに突っ込んだ。

「カイト!今、行く!」

僕はカバンを手に

1年2組の教室を後にした。

校門までの道でカイトが「なあ、昼メシ食べてかないか?さすがに終業日は部活は休みだ。」

「キリがOK。行こう。行こう。僕も図書クラブは休みだ。サイも行くだろう。」

「そうだな、行こうぜ。」

カイトがからむ。「この中で一番暇な、サイが断わるわけないよな。」

「そうだ。そうだ。」

キリが開いてい本を「パシッ」と閉じる。

「はい。はい。僕が一番暇人ですよ。

どうせ帰宅部ですからね。」

「よし行こうぜ。」男子3人駅前のファーストフードに向かう。

僕ら3人は中学からの同級生だ。

タイプは全く違う。性格も興味も違うがいつも学校ではつるんでいる。気が合う。

カイト。彼は外見通り。イケメンのサッカーバカだ。

キリも外見通り。イケメンの文科系の読書マニアだ。

そして僕。山川サイ。16才。超イケメンのオタクだ。

カイトがツッコむ。「サイ。お前、自分のこと今、超イケメンって思っただろう。」

横でキリが黙って「うん。うん。」首を縦に振り頷く。

「思ってない。」

カイトが「ドン。」っと僕にひじでつつく。

「隠しても無駄だぞ。俺たち3人はしゃべらなくっても、お互い考えていることがバレ。バレだ。」

キリが口をひらく。「そうだ。バレバレだ。」

そうだった。僕ら3人は中学3の春休み、UFOを見た。じゃなくて、天狗にあってしまった。

天狗のうちわに、あおがれて飛ばされた。

あの日から僕らには不思議な力が使えるようになってしまった。



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