第2話 空書き羽根ペン
学校から一番近いファーストフード店Wは駅前にある。
校門を出て右へまっすぐ看板が見えて来た。
歩道が少し狭くなる。
カイトとキリが先を歩き前から来る人とすれ違う。
僕は少し遅れる。
そういえばさっきの鳥の羽根。
僕はポケットから取り出し、太陽にかざした。
いくつもの細かい筋が入っていてるのが透けて見えた。
なんとなくペンを持つように持って
空に向かって、
大きく『雨』っと書いた。
瞬間。「ザーッ」前触れもなくと激しく雨が降りだした。
僕は何が起きたのかわからず。ぬれて立ち止まる。
振り向いたカイトが「サイ、ボーっとするな。走るぞ。」
ハッとして僕も2人に続いて走り出す。
前を走る2人。
文科系のキリも意外と足は速い。
「横断歩道、青だ。走れ。」今度は前を見たままカイトが叫ぶ。
僕らは雨に降られながらも、なんとかファーストフード店Wに駆け込む。
店内は急な雨で混んでいたが、僕らはなんとかいつもの2F 角、窓側4人席をゲット。
ぬれたカバンをズドンッとおろし。制服の雨を払い座った。
雨のせいか店内がいつも以上に空気がざわざわしている。
僕らは座り、オーダー開始。担当はいつもキリだ。
たいがいのことはカイトがリーダー的で仕切るが。食べに行くときはキリが仕切ってくれる。それにキリはお金に。計算が早い。
キリが「いつものでいい?」
「いいよ。」
「頼むキリ。」
「はい。送信完了。」これで待つだけだ。
こんな時、僕は何もしない。
同じ歳の同級生なのに彼ら2人が兄貴に見える。
僕は弟扱いだ。別に。嫌いじゃないけど。
カイトが脳内を読む。「そうだ。サイ、お前は可愛い弟だ。」
「ハハハ。そうだな。」
「こら、キリも笑うな」確かに2月生まれの僕は、2人よりも半年以上年下だ。
「それより、さっきの雨、なんだ?」
「急に降り出して。
ほら、本が濡れた。
濡れた本は乾くと分厚くなって困るんだよな。」
僕はキリに「キリ、そう言いながら
その本、傘がわりに頭に乗せてたぞ。」
とつっこむ。
「そっかー。」キリはこんな感じで以外と抜けたところがある。
こんな感じで僕らはバランスが取れていた。
僕らは完璧じゃない。
2人の黙ってニヤリする。
窓の外を見ると止んでいる。
カイトが「キリ、今度、雨が降ったらカバンに本はしまえ。」
「そうするよ。」
正面のカイトが僕の胸ポケットの羽根を見つける。
「サイ、そのポケットの羽根は、なんだ?」
「あっこれ。さっき教室を出る時に、風で机の上に飛んできたんだ。
無意識にポケットに入れてしまった。」
キリが「その羽根、ただの羽根じゃないぞ。
たぶん生きてる。」
「キリ何言ってるんだ。ただの羽根だ。
えっ?待てよ。キリ、それ、あたってるかも。」
カイトが「サイ、どういうことだ?」
「さっきさ、その羽根ペンで『雨』って空書したんだ。
そしたら、ザーッ雨が降ってきたんだ。」
「なんだそれ。」
僕らはペンを机に置いて3人で
じーっと見た。
すると「カタカタ」と音が。
すると羽根ペンが動き出して何か書き始めた。
『こんにちは諸君。』
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