第3の試練

「では…確かに預けたぞ。ドクター…私はすぐにでも前線に戻らせてもらうが…お前から見て、今のアリスの状態をどう思う?」


「この子が…にゃは。呪いなんて、術者さえやれれば、お終いなんだけど…ドクちゃんが見た感じ、この呪いの術者は…君達、王国騎士団が立てた考えで概ね、間違ってないと思うよ。」


「……やはりか。」


「四天王もベル隊長が既に討伐して、前線が膠着状態になっているのに、未だ魔王が現れない理由がそれなら、ドクちゃんだって納得しちゃうよ。今の人類が束でかかっても、魔王に絶対に勝てないんだもん…って、行っちゃった。」


開け放たれた窓から月を眺めつつ、ベットで眠るアリスの髪に触れて小さく呟いた。


「…王国の過激派の連中にアリスさんがいる事とか、気づかれないようにしないとにゃあ。」


……


泣き疲れたアリスは馬車の中で夢を見ました。


変な色のマントをつけていて、頭にツノが生えた人と町の近くの原っぱで遊んだ夢。その人がアリスの手を取ろうとして……


「…あ。」


その寸前でアリスは目を開けます。辺りを見渡すと、自分の部屋よりも豪華であり…昨日、体液塗れの人が言っていた、施設の中である事が分かりました。


ふかふかのベットから降りると、机に本が積まれていて、アリスが椅子に座ると、その上にメモ書きが残されている事に気がつきました。


紙の上にうっすらと緑色の体液が付着していて、施設に連れて来た人が書いたのだと、幼いながらも察する事ができます。


しかし悲しいかな。勉強するのがつまらないからと学舎をサボって、野原を駆け回っていた10歳のアリスには、この書かれたメモを読解する力もなく、難しい文字は読めません。


「……」


それでもアリスは必死に読める部分を探し、この積まれている本をアリスに読んで欲しい事や、ここに朝昼晩と食事が届けられる事が…何となくですが、分かりました。


壁にかけられた時計を見て、食事までにはまだ時間があり、暇になったアリスは積まれている本から表紙の絵を見て、気に入った本をベットの上で読んでみる事にしました。アリスは悩みます。


1.怖そうな魔物が描かれた本


2.紋章がついていて色んな人が描かれた本


3.傷だらけで表紙が抉れた本


4.全面白色の本


5.コミカルな感じの本


6.可愛い子が描かれた薄い本


7.文字のみの分厚い本


8.いっそ、全部読む!!


9.読むの面倒だから、部屋の中を見たり、空を眺めて過ごす。


10.勉強ムリ…死のう


—————————————————————


【では第3の試練を始めます。この選択次第で、アリスの人質生活の送り方や、得られる技能が変わります…ルーレットをお願いします。】


私としては、8と10以外なら…3。うわ、微妙。


【続けて下さい。】


—————————————————————


傷だらけで表紙が抉れた本を手に取ったアリスは、試しにペラペラとめくってみます。


「……?」


どうやら何かの呪文書らしく、文字が難解でアリスには読めませんでしたが…何故かアリスの頭にその文字が自然と入って来ます。


……それがまさか、自身を蝕む呪われた書である事や、既にアリスは強力な呪いを帯びている為に、本の呪いが打ち消される事なんて無論、気づく訳もなく、読み進めます。


めくるその手は止まる事を知らず、苦痛どころか、夢中になって読んでいると、ほんの1時間くらいで読破してしまいました。


「アリスちゃん…食事を持ってきましたよ。」


アリスは、鉄製のドアを開けて食事を持って来てくれた研究員っぽい人へ、試しに覚えた呪文を唱えてみますが…何も起こりません。


「……?ほら、温かい内に…」


何回かまた唱えてみましたが、生温かい目で見られている事に気づいて、恥ずかしくなったアリスはすぐにベットから降りて、机に置かれた食事を、大人しく食べました。


(美味しい!!)


特に何も起こらなかったのが無性に悔しかったアリスは疲れて寝てしまうまで、ベットの上でひたすら、傷だらけの本を読み続けました。


             第3の試練 生存


【技能『呪術』獲得。人質ルート継続】



















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