第4話 お金の存在意義

 ある朝、ぼくは工場で働くおじさんのポケットにいました。おじさんは毎日朝早く起きて、機械の前でずっと働いていました。汗をかきながらも、真剣な顔で作業を続けていました。


 その日の帰り道、おじさんはぼくを財布から取り出して言いました。

 「今日もこれで家族にご飯を食べさせてあげられるな。頑張ってよかった」


 ぼくはその言葉を聞いて、胸がじんと温かくなりました。ぼくはおじさんが頑張った証拠なんだ、と感じたのです。




 次にぼくが渡されたのは、家計簿をつけているおばさんでした。おばさんはぼくを机に置き、ノートを開きながらつぶやきました。

 「少しずつ貯めて、来年は家族で旅行に行こうね」


 おばさんはぼくを貯金箱に入れました。暗い貯金箱の中で、ぼくはほかのお金たちと会いました。みんなキラキラしていて、話を聞いてみると「このおばさんにとって大切な夢を叶えるためにここにいるんだよ」と教えてくれました。


 ぼくは思いました。

 「貯める力がある人に使われると、ぼくはただの紙じゃなくて、未来を作る存在になれるんだ」




 あるとき、ぼくは大学生の男の子の財布に入れられました。その男の子は、アルバイトをしながら学費を払っています。夜遅くまで働いたあと、男の子はぼくを眺めながら言いました。

 「これで次の授業料が払える。もっと勉強して、家族を楽にしてあげたいな」


 ぼくはその瞬間、ただの「道具」ではないと気づきました。ぼくがあることで、人は努力を続け、未来の夢を追いかける力を得られるのだと知ったのです。




 ぼくは考えました。どんなに一生懸命働いてぼくを稼いでも、無駄に使われてしまったら、ぼくは人の役に立つことができません。でも、夢や未来のためにぼくを貯めたり、計画的に使ったりしてもらえたら、ぼくの価値はもっと大きくなるんだ。


 ぼくは一つの決意をしました。

 「ぼくは、働く人たちの努力の証として、しっかり役に立つ存在になりたい」


 ぼくはこれからも、働き手の手を渡り歩き、夢を作るための力になりたいと思いました。ぼくが誰かの手に渡るたびに、その人がもっと笑顔になれるようにと願いながら。

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