第3話 縁と流れ
ぼくが旅を続けていく中で、とても不思議な経験をしました。それは、「人との縁」によって、ぼく自身がどれほど大切な存在になるかを学んだ出来事です。
ある日、ぼくはお店のレジに入れられていました。そこに現れたのは、困っている顔をした若い女性。彼女は財布の中にほとんどお金が入っていないようで、食べ物を買うのをためらっていました。
すると、後ろに並んでいた年配の男性が、ぼくをそっとレジに差し出しました。
「これで足りるだろう。遠慮するな」
その瞬間、ぼくは人の手を渡り、若い女性の助けになりました。彼女は涙ぐみながら、男性にお礼を言いました。
ぼくは思いました。
「ぼくはただの紙切れじゃない。誰かの気持ちを運び、縁をつなぐ存在なんだ」
その後、ぼくは女性の財布の中にしばらくとどまりました。そして、彼女が次にぼくを使ったのは、道端にいた募金箱でした。
「助けてもらった分、私も誰かの役に立ちたい」
彼女がぼくを募金箱に入れると、ぼくはまた新しい流れに乗りました。募金箱を通じて集められたお金は、遠く離れた国で困っている人たちのために使われると聞きました。
「縁はただの偶然じゃない。それが連鎖していくことで、もっと大きな流れになるんだ」
ぼくはそのとき、自分の流れがどれほど広がるかを初めて実感しました。
次にぼくが手渡されたのは、ひとりの親友同士でした。ある男性が友人にこう言いました。
「困ったときはお互い様だよ。これでなんとかしてみて」
その友人はお金を借りたことに感謝し、少しずつ返済しながら、友人同士の絆を深めていきました。ぼくはただの貸し借りの道具ではなく、友情を深める役割も担っていると感じました。
「信頼は、ぼくを豊かにしてくれる。それだけじゃなく、人と人との間にもっと強い絆を生み出すんだ」
最後に、ぼくは大きなパーティーの中で出会った人々の手を渡り歩きました。その場では多くの人が、ぼくを寄付として使ったり、プレゼントにしたりしていました。それぞれが、自分の「余裕」を誰かに分け与えることで、社会全体が豊かになっていくように感じました。
ぼくは「縁」と「流れ」の大切さを学びました。それは、ただぼくが誰かに渡されるというだけではなく、人々の信頼や思いやりがぼくをさらに価値あるものにしてくれるということでした。
「ぼくができるのは、つながりを作ること。そのつながりが、人間社会をもっと豊かにしていくんだ」
ぼくはそう確信し、次の旅路に向けてさらに気持ちが高まったのです。
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