第2話 家を取り返せ
「お、おい。どーなってんだぁ!?」
俺、
カッコいいって言われたこともある。自分ではあんま意識してない。
今朝、かわいい女を誘拐した。それで今に至る。その今というのが__
「なんで電柱にくくり付けられてんだぁ!?」
そう。電柱にグルグル巻きにされている。な、な、なんで!?
俺があの女を縛ろうとしたロープで、電柱にぐるぐる。
ということは――
あの女か!!!!!!
俺の家をのぞいてみると女が嬉しそうに生活している。
はあああああああっ!?
おいおいおいおい!ちょっと、取り返さなきゃ。
と思ったら。ロープで縛られてんだったあ!って、なんでだれも助けてくんねえの?ふつー助けんだろお!!
ぐはぁっ
腹に激痛が走る。
見ると、ヤンキーらしき男子高校生が蹴ったらしい。
ケラケラと俺の苦痛でゆがんだ顔を見ている。
それでヤンキーの仲間たちにもボコボコにされた。
カシャリとズボンに入れてあったスマホが落ちる。
「うわ、ボロボロやん。いらねえな。」
母親が勝ってくれた大切なスマホだ。だから、ボロボロ。ヤンキーはポイと俺の頭の上にスマホを置く。
パキリ
その音でカバーが少し割れる。――俺の宝物が,,,!!!
「このビジュ、おもろ。写真撮ってやろーぜ。」
「いいじゃねえか。SNS《エスエヌエス》にあげよーぜ。」
勝手な奴め,,,
「んじゃ、気絶させてとるか。」
んで、俺をボコボコにしてカシャカシャと写真を撮る。俺はついに気絶した――。
やがて目が覚める。前には小さな男の子が母親と話していた。
幸せそうだな,,,
これは、嫉妬だろうか。幸せそうに母親といる子を見ると、そんな気持ちがわいてくる。なんだかんだ言って、親には会いたいんだと、改めて感じられる。
「なんであのおにーちゃん、ぼうにくっついてるの~?」
うぐ、そうだった。逃げなきゃいけないんだぁ!
母親は苦笑いを浮かべると、小声で耳打ちする。
「お兄さんと一緒にくっついている紙に悪い人って書いてあるのよ。悪い人だから、恥をかかせようとしたのかもね。」
「ふーん。」
くう。これ、マジで地獄ぅ!!恥ずいし、たまにボコボコにされるしぃ!!
でも、この近くには警官がいない。
途方に暮れていた俺の目に飛び込んできたのは一人の女。
――あの女だ。
女は俺の前をスーッと通り過ぎる。
「おい、止まれえ!!」
女は気にせずにまっすぐ横断歩道に向かう。
「やかましい!括り付けられたらもうどんならんよってに、おとなしゅうせいや。」
《うるさい!括り付けられたらもうどうにもならないから、おとなしくしろ。》
関西弁のおじさんが俺に注意してくる。このおじさんは俺の気持ちを知らないから、こんなこと言えるんだ!こっちは親に捨てられて、(誘拐したら)家奪われて、ボコボコにされて、恥ずかしい思いしてんだよお!!
()のところは心に閉じ込めて心の中でおじさんに訴える。
やがて夜になった。俺はもう、疲れたよ。もうヤダ~~~。
何かやるなら夜だろうと思った俺は、夕方に少し寝といた。
そのため、行動の用意はできている。さて、どうしようか,,,
・・・
3分ほどたっただろうか。何も考えが浮かばない。どうしようか。
考え込む俺。考えが浮かばない。
自分でロープを外すのは難しい。誰か、または道具に頼るのがいいだろう。
まずは誰かに頼る方法だ。
俺を電柱に括り付けたあの女が俺を助けるわけがない。かといって、他の誰かに頼むとしてもあのメモのせいで助けるどころか俺を殴りそうだからダメだ。
ならば物しかないという事だ。
さて、何に頼ろうか。ロープを切れるものがいい。
――――あっ!!!
[頭の上にスマホを置く。パキリ カバーが少し割れる。]
あの時のカバーを使えば、ロープを切れるんじゃねーか!?
ヤンキーサンキュ!!!!!
一瞬ヤンキーに感謝すると、行動開始!
頭を軽く振って、ロープの上に落とす。
あごで何とか動かして、ロープを切れるようにする。
プツリ
ロープが切れた。
ありがとな。母さん!
ちょっとだけ母さんとヤンキーに感謝すると、喜びをかみしめる。
――そう思っていたのもつかの間、ひゅるるるると下に落ちる。
結構高さはある。どうする!?俺!?
手や足で受け止めたら骨折の可能性がある。
終わった―――!!!!!!
そんな俺の目に飛び込んできたのは右にある草むら。ここなら安全じゃないか!?
俺は体を右にかたむけて草むらの方へ行く。
草むらには草がたくさん生えていて、土もふかふかそう。
ドン!!
うまく草むらに着地!ふかふかの土に身を転がせ、たくさん生えた草に囲まれ、俺は生き延びた。怪我一つしてない。
これだけ草むらに感謝したことはない。ありがとう。草むらよーーーーー!!
さて―――
家に帰ろうと思い、家に走っていく。
ドアをまたしても乱暴に開け、女を捜す。
俺の布団でスヤスヤ幸せそうに眠っている。
「おいっ!」
女は俺の怒気の混じった声に飛び起きる。
「……。なんで逃げられたの……?」
不思議と、驚きと、不安が混じった表情を浮かべる女。
「てめえ,,,!」
俺は怒って女に言う。女は下を向く。
「――お前、家ないのかよ?」
俺は聞く。家があれば帰れるはずだ。もしかしたら俺と同種の可能性もある。だから聞いた。
「――ない。親に捨てられた。別れたお兄ちゃんがいるけど、家を持ってるかどうかわかんない。」
――え?
完全に同種だ。俺にも、別れた妹がいるのだから。
俺がこの後、あんなことを聞いたのは、この女が妹だったらと期待していたのだろう。
「女、お前の名前は?」
「_緑。
俺は、言葉をなくした。
森内という名字からわかるように、緑は……
俺の妹だ。
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