第二話 イベント発生!

イベントには三つの種類がある

特定のキャラの好感度を上げる友好イベント

遊びに行ったりすることがこれにあたる

一応毎日できるが今まではほとんど私のために消費されていた

決まった日にしかできない共通イベント

体育祭や文化祭などの学校イベントがこれにあたる

これも今までは『player』が他の人と関わろうとしなかったため、なかったようなものだ

そして最後に好感度が一定まで上がったり、最終日になったときに起こる恋愛イベント

…なのだが私はまだ見たことはない

恋愛ゲームなのであるだろうという予測でしかない

私の目標は『player』がヒロインと恋愛イベントを起こすことで達成される

あ!ちなみにイベントの名前は全部私の予測ね

今日のイベントは放課後の交友イベント

いつもは大体私と『player』の二人きりなのだが今日は違う

メインヒロインの有愛うめも一緒だ

三人で電車に揺られながら街に向かっている

にしてもこの二人、学校からここまで私を挟んでにらみ合ってる

…雰囲気悪いなー


~now Loading~


街に着いた!

ここでは色んなことができる

食べ物を食べるのもよし、映画やゲーセンなど娯楽ごらくに行くもよし

とにかく何でもそろっている

それなのに電車で行ける距離にあるのだ、便利

「何する~?」

有愛に目を合わせる

「私か?」

「うん!」

いつもならばゲーセンに行ったり何か食べるのだが今日は有愛がいる

できることならば今日、有愛の好感度を少しでも上げておきたい

そうしたら『player』も気になるようになるかもしれない

いや!そうなってくれ!頼む!

そのためにも有愛のやりたいことを聞いておきたい

私を遊びに誘ったということはやりたいことがあるのだろう(多分)

「私はアカネと遊べればなんでもいいよ」

手をもじもじさせながらそう言う

しおらしくて可愛い!『player』にして!

「じゃあゲーセン行こうぜ」

『player』が選択する

私は別にどこでもいいので賛成する

有愛は最初こそ「あなたが決めるの?」と文句を言っていたが私が賛成するとこころよく賛成した

だから『player』にしてよ、そういうのは…


~now Loading~


私と『player』がよく来るゲーセンに来た

「じゃあ手始めにガンゲーでもするか」

ガンシューティングゲーム、通称つうしょうガンゲー

ゲーセンの中ではかなり大きな筐体きょうたい

筐体って言うのはゲーム機のことね

本物の銃を使ってるみたいで楽しいのだが

「いやあれ二人プレーでしょ!」

大体のガンゲーが二人までしか使えないのだ

「わりぃいつものくせで」

「今日は有愛ちゃんがいるんだからね!」

いや、『player』と有愛を二人きりにするいい機会かもしれない

「…私飲み物買ってくるから二人でやりなよ!」

「じゃあ俺も行く」「私も行くよ」

わあ息ぴったり

もう仲いいだろこれ

「有愛ちゃんは練習して!じゃないと私とできないよ!」

「ウッ、確かに初めてだけどー」

「アキラは有愛ちゃんに教えてあげて!私より上手じょうずでしょ!」

「ま、まあ!俺は確かにうまいけどな」

「じゃあ教えてあげて、ね?」

「おう!」

…単純な二人である

まあその単純さに救われたんだけどね

二人は文句を言いながらも筐体に向かっていく

それを見送った後、自販機に向かう

『player』はコーラ、有愛ちゃんは…何が好きなんだろう

とりあえず甘い系の飲み物でも買っておこう

イチゴミルクでいいか

私は麦茶でいいや

もし有愛ちゃんがイチゴミルク飲めなかったら麦茶渡せるし

そんなことを思いながら元の場所に戻る

そこには楽しそうに銃を撃つ二人がいた

「ねえ!私のこと助けて!」

「俺だって忙しいんだよ!一人で何とかしやがれ!」

「死ぬ!死ぬって!」

「じゃあな!あとは俺がかたずけ…死ぬ!助けろ!」

「じゃあね~」

互いに互いを見捨てようとして…何してるのか

だけどここに来た時みたいなギスギスした雰囲気はなく、ただ友達と遊んでいるようだった

これはこれでいいのかもしれない

まだ四月の始まり、一日目だ

まだこれからがある

好感度なんてこれから上がっていく

だがら今日はこれで満足だ

楽しそうに遊ぶ二人を、椅子に座りながら見守る

少しすると有愛のライフがゼロになる

「あー死んだ!アカネ!交代!」

「えー二人で楽しめばいいよ!」

「さっきアキラと話して決めたこと!死んだら交代!」

それなら仕方ないか

「じゃあ私の番ね!」

蛇腹じゃばら!アカネのプレー見てろよ」

「もちろん!」

「あ、有愛ちゃん!

飲み物買ってきたから好きなの飲んでー!」

「ありがと」

よし、見せてやるか私のプレー

コンティニューするためにお金を入れる

このゲームは着弾地点が画面に映るからやりやすいな

正確に頭を打ちぬいていく

「うますぎでしょ…」

「俺も負けてられねぇな」

それからラスボスまでサクッと終わった

かなり難易度が高かったが割と楽勝に勝つことができた

もう外が暗くなってきた

そろそろ帰ろう


「げっ俺のコーラ飲まれてるじゃん」

そういえば飲み物を買ってきたんだった

残ってるのは麦茶とイチゴミルク

有愛はコーラを飲んだみたいだ

「まあいいか

じゃあ俺は麦茶もらうぜ」

そうなると私はイチゴミルクか

ちびちびと飲む、美味しい

「にしてもアカネ、ガンゲー上手いんだね

どや顔で教えていた男とは違うわ(笑)」

「着弾地点があったからだ!ないのは俺の方がうめぇから

あと(笑)は余計だ!」

少し前を歩く二人が話している

私はすっかりのけ者である、別にいいけどね

遊ぶ前と変わらないように見えるが二人とも話しているときに笑顔が見える

まあ似た者同士だから気が合ったんだろうな

この調子なら別のヒロインはいらないかもしれない

まあフラグが立ってくれるならばいいことには間違いないけど

ハーレムエンドありそうだしね


~now Loading~


駅まで着く

私と『player』の家は反対にあるためここで別れる

「有愛ちゃんどっちなの?」

「私はあっち」

そう指さす方向は『player』が向かう方向と同じだった

「じゃあココでお別れだ!またね!有愛ちゃん!」

「うん、また明日」

「またなー」

歩き出す二人を見送る

そうして見えなくなったら私も歩き出す

「うん!今日は手ごたえあるぞ!」

まだ恋愛関係になるほどではないが必要最低限のつながりは作れた

よし、帰るか!

電車に乗る

スマホを取り出し、近くのスーパーの特売を見る

明日は遊びに行けそうにない

卵の特売やるらしい

まあ『player』のことだ

「遊び行きてぇ」とか言いながら有愛のことを誘うに違いない

とりあえず『player』に明日は遊び行けないという連絡をする

『player』も丁度ちょうど電車の中だったのかすぐに既読きどくが付く

                       『有愛ちゃんでも誘いなよー』

『そうするか』

『今、蛇腹と一緒にいるから聞いてみるわ』

                              『頑張ってー』

驚いた、乗る電車までもが同じだとは

流石メインヒロイン

まあこの様子なら来年の今頃には何とかなるだろう

電車を降り、家とは逆の方向にある山に向かう

少しのぼった先に立派な建物がある

その中に入る

「あらっアカネちゃん、先生が待ってたわよ」

少し遅れてしまったので申し訳ない

「すみません、学校が忙しくて!」

「いいことじゃない

学生時代は今しかないのよ」

「そうですね!

…先生はいつもの部屋ですか?」

「ええ、早くいってあげてね」

「はーい!」

そうして受付の奥にあるとびらを開ける

そこには白衣を着た女性が座っている

「あら、アカネちゃん一カ月ぶりね」

「先生こそ!久しぶりです!」

「そこ座っててね

何か飲む?」

「いえ!ここに来る前にイチゴミルク飲んでたんです!」

そう言うと先生は驚いた顔をする

「アカネちゃんは甘いの苦手じゃなかった?」

ああ、そういうこと

そういうだったっけ

「いやーせっかく買ったので飲んでみようかなーって」

「そうなんだ。美味しかった?」

「それはもう!飲んでみるものだなって思いました!」

「そっか、それはよかった

…じゃあまずはいつも通りの質問しようか

アカネちゃんも早く帰りたいでしょ?」

私は首をブンブンと振る

「そんなことないですよ!私、先生と話すの好きですから!」

「そう?それならよかった

じゃあ聞くね

体調、悪くない?」

「いいえ!」

「不眠はない?」

「ないです!」

「食欲はある?」

「あります!今なら何でも食べれますよー!」

「それならよかった」

これでいつもの質問は終わる

これから先生に一週間の間にあったことを話す

これが私を元気にするのに役立つと先生は言う

「今日、二年生になりました!」

「実は私の娘も高校二年生になったの」

「先生、娘さんいたんですか⁉」

「あんまり会えないのだけどね」

「あーここって休日も夜遅くまでやってますもんね!」

「そうなの。患者さんは待ってくれないからね~」

先生はたくさんの患者さんを持っているらしい

その全員を対応するには時間が足りないって言ってたっけ

「でも、先生のおかげで救われた人もいます!」

「嬉しいこと言ってくれるじゃない」

恐縮きょうしゅくです!」

いつものように楽しく話す

この時間は割と好きだ

学校のことを話せるからね

「友達はできたかい?」

「それはもちろん!クラスの皆、友達ですよ!」

「それはすごいね

私も一度でいいからそんなことしてみたかったわ」

「先生ならできますよー!」

「そう言ってくれると嬉しいわね

…あら、もう時間みたい」

診察の時間が終わったみたいだ

「それじゃあ私は帰りますね!」

「気を付けてね」

扉を開け、出る

そのまま受付にいる看護師さんに挨拶あいさつする

「では帰りますね!」

「あらっそう?また来週ね」

「はい!また!」

そうして病院を出ていく

今日の夜ご飯何にしようかな~


今日も最後の患者であるあかねちゃんを見送り、仕事に戻ろうとする

「茜ちゃん、もう大丈夫じゃないですか?」

受付の看護師、三浦みうらさんがそう話しかける

「そうね、もう十分元気そうに感じるわ」

「なら…」

「でも、一年前に急にああなったのよ」

鬱病うつびょう患者が急に元気になる

それが最も恐ろしいことだ

そういう人は判断力がおかしくなっているケースが多く最悪の場合、自殺に殺人などの重犯罪を犯す可能性もある

「でももう一年経過してますよ?」

「そうなのよね」

確かにカウンセリングしても判断力に問題があるとは思えない

それに何の問題も起きていない

「でも彼女がレアケースの可能性も低いのよね」

鬱病患者が元気になるレアケース、それは生きる意味を見つけた時だ

大体が恋や愛関連なのだが彼女に

恋ができてしまうならば、それこそカウンセリングの意味がない

だが学校から一番仲がいいのは男子生徒だと聞いている

本当にそうならばカウンセリングは止めてもいいだろう

…別に疑っているわけではないのだが

「まあこれからも続けるわよ

それに彼女も嫌がっているわけでもないしね」

「…それもそうですね」

三浦さんにはこう言ったが他に理由がある

何か彼女にはがあるのだ

ただの気のせいかもしれないが、この気のせいを大切にしろと教授に言われた

この違和感の正体に気づくためにもカウンセリングはこれからも続ける

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